2018年8月17日(金)

ヒルズ族よりノマド族(若者、地方へ) 低温世代の経済学パート4(1)

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2012/3/27 7:00
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濱渦さんが案内してくれたオフィスには広い休憩スペース

濱渦さんが案内してくれたオフィスには広い休憩スペース

 もっとも顧客の大手メーカーは大都市に集まっている。アラタナの売上高も9割超は首都圏や関西圏など九州以外だ。営業で不利益を被らないか、商談に費用がかからないか、優秀な人材は集まるのか……。素朴な疑問がどんどん湧いてくる。だが濱渦社長は「全く問題ない。むしろ宮崎に拠点を置く強みがあります」と笑顔を崩さない。

■情報格差は格段に縮まる

 東京の大学を11年春に出た入社1年目の工藤真都衣さん(23)は営業担当。だが「通常の営業で出張することはまずありません」という。新規顧客への売り込みもその後のやり取りも基本的に電話か電子メール。関係者が集まる会議もネット電話「スカイプ」のビデオ通話を使う。高速通信の整備が急速に進む日本。都会と地方の情報格差は一昔前よりも格段に縮まっている。

 それだけではない。さらに驚いたのは、社員から地方ならではの「武器」もあるという話が次々と飛び出したことだ。

 「取引先の開拓で『宮崎からです』と電話をかけると、もの珍しさから興味を持ってくれるんです」「もし先方が九州人だったりすると、一気に話が弾みます」「遠隔地だから『すぐに説明に来てほしい』なんて呼び出されることもありません」――。

遠隔地の取引先との連絡も電話やネットが中心

遠隔地の取引先との連絡も電話やネットが中心

 人材確保にも不安はないようだ。

 「会社の通勤時間が1時間以上ってもったいなくないですか」。アラタナのウェブサイトの採用ページには、こんなフレーズ。魅力的な言葉はさらに続く。「仕事前にサーフィンをする人もいる」「地元産の野菜が福利厚生で安く買える」……

 こんな考えに感じ入った1人が、20歳で始めたサーフィンが週末の楽しみという取締役の山本稔さん(34)。首都圏の冷凍機メーカーの技術者だったが、宮崎での転職を決めた。「大都市でなければできないと思っていた仕事が、宮崎でもできることが驚きだった」。定着率も高い。人材の流動性が高いIT業界で、エンジニアの退職は5年間で40人のうち1人だけという。

 「東京でグリーやDeNAと同じ土俵で正面から戦うも良し。だけど一緒に宮崎から世界を目指したい人に集まってほしい」。濱渦さんが導き出した答えだ。

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