2019年8月23日(金)

成長源は住宅以外、「フカケツノ」事業で売上げ10兆円へ
樋口武男 大和ハウス工業 代表取締役会長・CEO

(1/4ページ)
2014/6/5 7:00
保存
共有
印刷
その他

 技術のボーダーレス化が進む中、他分野の技術を活用して異業種に参入し、急成長する事例が増えている。日本企業は今、「外」に活路を求め、多様な人たちと議論し、従来の殻を打ち破る必要に迫られている。新規事業や異業種連携を加速させる取り組みをはじめ、技術の波及がもたらす新ビジネスの可能性などを紹介していく、特集「リアル開発会議」。連載第3回は、住宅メーカー最大手の大和ハウス工業 代表取締役会長・CEO(最高経営責任者)の樋口武男氏に、「異業種参入の流儀」について語ってもらう。同社は、ここ数年、住宅以外の新しい事業を大きく拡大させている。創業50周年に当たる2005年度に売上高1兆5000億円の目標を達成し、創業100周年の2055年度には売上高10兆円という壮大な目標を掲げる。そのカギとなるのが、福祉と環境、健康、通信、農業の頭文字を取った「フカケツノ」事業である。

樋口武男(ひぐち・たけお)。1938年生まれ。関西学院大学 法学部卒業後、1963年に大和ハウス工業に入社。1991年に専務取締役、1993年に大和団地 代表取締役社長を経て、2001年に大和ハウス工業 代表取締役社長に就任。2004年から現職。2009年から住宅生産団体連合会 会長、2006年から大阪交響楽団 運営理事長を務める(写真:宮田昌彦)

樋口武男(ひぐち・たけお)。1938年生まれ。関西学院大学 法学部卒業後、1963年に大和ハウス工業に入社。1991年に専務取締役、1993年に大和団地 代表取締役社長を経て、2001年に大和ハウス工業 代表取締役社長に就任。2004年から現職。2009年から住宅生産団体連合会 会長、2006年から大阪交響楽団 運営理事長を務める(写真:宮田昌彦)

大和ハウス工業では将来を見据え、「フカケツノ」事業に力を注いでいく方針を打ち出している。「フ」は福祉関連、「カ」は環境、「ケ」は健康、「ツ」は通信、「ノ」は農業で、これから事業を広げていこうと思っている分野だ。

なぜ、住宅メーカーがこれらの事業に注力するのかと、不思議に思う方もいるだろう。それには理由がある。

日本の人口は現在、1億2700万人で、2060年には8600万人、2100年には6000万人程度に減少するという推計がある。一方、世界の人口は現在の72億人から100億人に増加する。この変化は、人間の生活に関連するさまざまな問題を世の中に引き起こす。

世界の環境はどうなるのか、食糧はどうなるのか、水の問題はどうなるのか――。「住」という生活の基本となる商材を扱う企業として、その周辺で起きる変化は無視できない存在になっていく。常に先の先を考えなければ、事業を拡大することはできない。

■「スピード」は最大のサービス

初めは「不可欠(フカケツ)」な事業をやるつもりだったが、最後にあえて「ノ」を付けた。それは今の日本の食糧事情や世界の人口を考えると、農業の工業化を必要とする時期が絶対にやって来ると考えたからだ。薬品まみれの食品がどんどん輸入されるようでは、健康管理もできない。無農薬の食料を工業的に生産していく取り組みは不可欠なのだ。

新しいことを始める際に大事なことは、実は「独断」である。サラリーマン社長がトップの「サラリーマン会社」では、ベンチャー企業からいい話を持ち込まれた担当者が「検討します」とやる気になっても、担当役員や社長に話を上げていくプロセスに時間がかかるし、なかなか結論が出ないことが多い。

大和ハウス工業も「サラリーマン会社」になったが、オーナーの教えがまだ息づいている。先の先を考えて「今後どういうものが必要か」「何が世の中の役に立ち、喜んでもらえるか」を経営判断のベースに考えている。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。