2019年2月18日(月)

シニア起業家「異種格闘」 再創業に注ぐ成功の教訓

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2012/11/24 8:38
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プロミス→北海道で農畜産

高級品で競争力磨く

空気に冷たさが混じり始めた11月の北海道。しかし、浦臼町の神内ファーム21の温室では、南国産のはずのマンゴーが赤く色づき収穫を待っている。「価値ある品で価格設定権を農家に取り戻す」が神内良一社長の信条。3年前から出荷するこの「冬マンゴー」は百貨店などで歳暮用に珍重され、今冬は約8千個を出荷する。2個セットで約1万3千円という高値だ。

2個セットで約1万3千円の「冬マンゴー」を生産する神内ファーム21の神内良一社長

2個セットで約1万3千円の「冬マンゴー」を生産する神内ファーム21の神内良一社長

来年からは白桃、富有柿、ブドウのピオーネも育てる。いずれも本来は寒冷地には向かず、温室の設備投資や燃料費がかさむ。それでも「雪に閉ざされる冬を克服すれば、北海道農業の生産性が劇的に上がる」(神内社長)と揺るがない。

畜産では熊本県などが主産地の、赤身が多い「赤毛和牛」にほれ込んだ。約800頭を放牧し、しゃぶしゃぶ用などの高級肉をネット直販中心に販売。11年に他の生産者らと品質を認証する財団法人を結成した。

神内社長は消費者金融のプロミスの創業者。戦時中、学徒動員で農作業に来た北海道に魅せられ、入植も志した。夢が実現したのは半世紀後の1997年。浦臼町で約600ヘクタールの土地を購入した。今や農場・牧場は道内に5カ所、宮崎県に1カ所。投じた資金は約130億円に達する。

スケールは一般の農家の枠を超えている。01年にはいち早くガラス温室で自動化した植物工場に挑戦。06年には次世代の農家を育てる「夢現塾」を開いた。敷地内に戸建て住宅を並べ計20組の夫婦が受講。研修しながら独立を目指す。

売上高は12年3月期で7億円弱。投資先行で黒字化は「5年以内が目標」という。地元には「資金あっての実験農業」とやゆする声もあるが、神内社長は「いずれ世界で食糧戦争が起きる。自給率を高める農業が不可欠」と種をまき続けている。

【神内ファーム21】
○1997年設立。北海道を中心に6つの農場・牧場を運営。総面積は約2000ヘクタール。飼育する黒毛・赤毛和牛は4000頭
○神内良一社長は62年に消費者金融のプロミスを創業。2001年に会長を退任した

(石森ゆう太)

[日経MJ 2012年11月11日付]

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