激安ゲーム機の失速、スマホの専用端末化を促す
ジャーナリスト 新 清士

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2013/8/22 7:00
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 米国で家庭用ゲーム機の将来に劇的な変化をもたらすとして期待されていた「99ドルゲーム機」が大苦戦している。米OUYA(ウーヤ、カリフォルニア州)が6月に発売した新型ゲーム機「OUYA(ウーヤ)」だ。低価格とユニークなコンセプトに加え、開発資金を個人から幅広く募るクラウドファンディングサイト「キックスターター」で859万ドルと過去2番目の高額調達に成功。注目度は高かった。しかし、収益性が低いうえ普及も進まず、成功にはほど遠い状況だ。むしろウーヤの登場でスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)のゲーム端末としての可能性の高さが浮き彫りになった。

■家庭のハイビジョンテレビに対応

ウーヤの本体(右)とコントローラー

ウーヤの本体(右)とコントローラー

ウーヤのコンセプトはシンプルだ。ゲーム機本体は手のひらサイズの小さな箱形で、ブルートゥース接続の専用コントローラーが付属するだけ。スマホやタブレットの基本ソフト(OS)として普及している米グーグルの「アンドロイド」を搭載し、3D画像も表現可能という高いハードウエア性能を持ちながら価格は99.99ドルと、これまでの家庭用ゲーム機では考えられない安さだ。ゲームはすべて専用サイトから本体にダウンロードし、8ギガバイトの内蔵フラッシュメモリーに保存する。

アンドロイド端末で動作するゲームは他の端末への移植が比較的簡単なため、タイトルを増やしやすいという利点がある。ウーヤはハイビジョンに対応しており、家庭のテレビで本格的なゲーム体験ができる点も魅力といえる。

ウーヤのキックスターターでの投資資金募集ページ

ウーヤのキックスターターでの投資資金募集ページ

スマホやタブレットでゲームを遊ぶ際、多くのユーザーが不満に感じているのは、すべてのゲームがタッチパネルで指を使って遊ぶことを前提にしている点だ。例えばシューティングゲームでは自分の指が邪魔になって遊びにくい。そのため、スマホでも家庭用ゲーム機のようなコントローラーを利用して遊びたいというニーズは高まっている。さらにスマホ向けゲームでも、ハイビジョンテレビの画面で遊びたいというニーズもある。

ウーヤはそうしたニーズを実現することを目指した。同社は「革命はテレビで起きる」というスローガンを掲げ、どんなゲーム会社でも無条件でウーヤ向けゲーム開発に参入できるようにした。大手、独立系を問わず、どのゲーム会社にもゲームの開発環境とサービスを分け隔てなく提供する「オープンプラットフォーム」のゲーム機として、これまでの家庭用ゲーム機のあり方に一石を投じたのだ。

これまで家庭用ゲーム機会社は、ゲーム販売を望むゲーム会社に対し開発契約の締結を条件にしてきた。契約を結ばなければゲーム機会社にゲームを提供できないのだ。例えば、任天堂の「Wii U」向けにゲームを開発したい場合は任天堂と開発契約を結び、ゲームの企画審査を受けなければならない。これに対し、アンドロイド端末ではこうした審査がなく、自由にゲームを展開できる。

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