日本の原発、「海依存」が弱点 冷却に構造的課題
編集委員 滝順一

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2011/3/21付
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福島第1原子力発電所での放水作業を指揮した東京消防庁の緊急消防援助隊の警防部長は「海からの取水場所を探すのに苦労した」と記者会見で明らかにした。原発施設の浜側は津波が押し上げた泥などで一面が覆われ、作業が困難だったらしい。

福島第1原発はいま、眼前にある海から切り離されてしまっている。海に依存するという日本独特の原発のありようが、今回の大事故の根っこにある構造的要因だ。

欧米の多くの原発で、外観を見てだれの目にも印象的なのは、白い蒸気を上げる巨大な冷却塔だ。1979年に炉心溶融事故を起こした米スリーマイル島原発も例外ではない。こうした原発では川からくみ上げた水で原子炉などを冷やす。温かくなった河川水をそのまま川に戻すわけにはいかないから、冷却塔で空気で冷やしてから戻す。そこには空冷の仕組みがある。

日本の原発に冷却塔はない。原発で発生した余分な熱は海水で取り除き、巨大な自然の放熱器である海に流し込む。完全な水冷方式である。だから、すべての原発は海岸に立地する。誤解のないように言い添えれば、通常は海水で直接原子炉を冷やすのではない。真水の冷却水で原子炉を冷やし、熱くなった冷却水の熱を海水で取り除く仕組みだ。

こうした構造であるから、海水を取り込めなくなると、原子炉を冷やせなくなる。福島第1で起きた電源の全喪失という事態は、冷却水を冷やす海水ポンプも動かなくなったということだ。詳しい情報が表に出ていないようだが、仮に海水の取水施設に大きな損傷があれば、所内電源が回復し冷却装置が動き出しても、冷却水を冷ます海水の確保に苦労する事態も考えられる。

御巣鷹山に墜落した日本航空ジャンボ機は、飛行に不可欠な補助翼を動かす複数系統の油圧装置を備えていた。安全のために冗長性を持たせていたのだ。しかし、すべての油圧配管が尾部では同じ場所を通っていた。このため、後部圧力隔壁の破壊によってすべての油圧系が破損し、操縦不能に陥った。

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