2019年5月24日(金)

ソーシャルの「カリスマ」開発者が大企業から出てこない理由
ブロガー 藤代 裕之

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2012/3/23 7:00
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ソーシャルメディアによる情報発信では、個人や少人数チームが開発したウェブサービスを告知できるようになった。ユーザーは企業名というより開発者個人を信頼するようになり、そうした「カリスマ」開発者が立ち上げたサービスのなかには、大企業にも負けないほど多くの登録者を集めるサイトがある。なぜ、こうした開発者はユーザーを魅了できるのだろうか。

■口コミで1日1000人以上が登録する「ウォンテッドリィ」

ソーシャル・リクルーティング・サービス「ウォンテッドリィ」のサイト

ソーシャル・リクルーティング・サービス「ウォンテッドリィ」のサイト

フェイスブックを利用して企業が希望する人材を採用する、いわゆるソーシャル・リクルーティング・サービスの「Wantedly(ウォンテッドリィ)」が注目されている。サービス開始前の2011年9月に「事前公開」した際、フェイスブックで口コミが広がって1日1000人以上の登録があり、開始後は2週間で1万人を超える会員を集めた。

このほかフェイスブックやツイッター、Google+(プラス)、YouTubeといったソーシャルメディアのデータを分析できるサービス「Social Insight(ソーシャル・インサイト)」も、昨年10月から告知して1万人の先行登録があった。ウォンテッドリィもソーシャル・インサイトも、一部のユーザーを先行して招待したり事前登録したりして、正式版のスタート前に話題をつくっている。招待された人たちが、サービスの内容や招待されたこと自体をソーシャルメディアで話題にすることで、評判が広がっていった。

こうしたプロモーション手法を見て、利用者を「じらす」ティザー広告が有効と考えるのは早計だ。ティザーは新製品や新サービスに関する一部の情報を公開し、ユーザーの期待をあおるプロモーション手法だが、サービスへの期待がなければ難しい。アップルやグーグル、任天堂のように既に製品やサービスに多くのファンがいるケースには効果的だが、そうではない場合は期待されずに終わることもある。大企業とは関係ないサービスが正式のスタート前に多くの登録者を集めたという事実は、とても興味深い。

■開発者個人とサービスが結び付く時代に

2つのサービスには実は共通点がある。いずれもウェブの世界ではよく知られた女性によって創られていることだ。

ウォンテッドリィの開発者は仲暁子さんで、証券会社のゴールドマン・サックスを経てサービスを立ち上げた。そして、サービスを開発するためにプログラムのフレームワーク「Ruby on Rails」を学んだという物語がサービスのイメージを彩り、ユーザーに訴えかける大きな武器になっている。もう一人、ソーシャル・インサイトに関わる閑歳孝子さんも大学時代からウェブサービスを立ち上げていたほか、出版社で記者・編集も務めていた。現在、所属する企業でのサービス開発だけでなく、個人としてもソーシャル家計簿サービス「Zaim」を開発している。同サービスは11年に開かれたネット関連イベント「WISH2011」の大賞を獲得している。

彼女たちは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏や、グーグルのラリー・ペイジ氏やセルゲイ・ブリン氏など、世界的な大会社の創業者とは違い、一般には知られていないだろうが、創業を目指すスタートアップ企業とかウェブサービスの世界では知られた存在だ。このようなサービスと個人名の結びつきは、ネット関連では非常に多い。

たとえば、ネットベンチャー関連イベント「Infinity Ventures Summit」の「Launch Pad」部門で1位となったソーシャル時間割アプリ「すごい時間割」の鶴田浩之氏が有名だ。また、ソーシャルギフトサービス「giftee(ギフティ)」の太田睦氏、ランチタイムの社外交流を促進するサービス「ソーシャルランチ」の福山誠氏も知られている。いずれもどんなサービスかというより、誰が作っているのかで注目を集めた。開発者がソーシャルメディアで自ら情報発信することで、ユーザーにも大きな影響を与える存在になるのだ。

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