2019年2月24日(日)

もし巨大台風が高層ビル街を直撃したら?

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2011/9/21付
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記録的な豪雨によって、和歌山県や奈良県、三重県などで多数の人的・物的被害をもたらした台風12号。土砂災害や家屋の浸水、河川の氾濫によって被害は拡大した。台風12号による被害の大部分は「雨」がもたらしたものだ。しかし、今後の台風対策を考える上では「風」への備えも欠かせない。日本建築総合試験所建築物理部の西村宏昭部長は、大都市に立ち並ぶ高層ビル群の脆弱性について警鐘を鳴らす。

西村部長は、台風によって飛ばされる飛散物への対策が欠けていると指摘する。日本の大都市は、強風が直撃する臨海部の平地に開発されている。多くの建物は風荷重基準に基づいて耐風設計がなされているが、飛散物の「衝突」に耐えるようにはつくられていない。日本の近代的な都市が、巨大台風の洗礼を受けていないことが一因だ。

米国では、指先ほどの大きさの小石がガラス張りの高層ビルを機能停止に追い込んだ実例がある。2005年にニューオリンズ市を襲った「カトリーナ」では、市内の高級ホテル「ハイアット・リージェンシー」の窓ガラスの多くが割れて室内が水浸しになり、長期にわたって使用が不可能になった。客室からは台風による飛散物とみられる小石が見つかった。

2005年8月に来襲したハリケーン「カトリーナ」でガラスが割れた、米国ニューオリンズ市内の高級ホテル「ハイアット・リージェンシー」の高層ビル。写真中央の白い部分はすべて、割れたガラスを応急的にふさいだ箇所(写真:日本建築総合試験所)

2005年8月に来襲したハリケーン「カトリーナ」でガラスが割れた、米国ニューオリンズ市内の高級ホテル「ハイアット・リージェンシー」の高層ビル。写真中央の白い部分はすべて、割れたガラスを応急的にふさいだ箇所(写真:日本建築総合試験所)

ハイアット・リージェンシービルの破損部分の拡大写真(写真:日本建築総合試験所)

ハイアット・リージェンシービルの破損部分の拡大写真(写真:日本建築総合試験所)


■対策には「合わせガラス」や「フィルム張り」が有効

日本でも2009年10月8日、台風18号の影響で日本たばこ産業本社ビル(東京都港区)の7階と8階にまたがる外壁から合計8枚のパネルが落下した。落ちたのはアルミ製の外装材。1枚の大きさは2700mm×200mm、重さは3~5kgだ。落下したパネルのうち1枚は向かいのビルを直撃し、3階の窓ガラス1枚を割った。都市部では、強風で飛ばされた外装材が飛散物となって他のビルや人にぶつかるなど、連鎖的な被害も生みやすい。

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