環境に優しいバイオプラ、「お試しモード」から脱却へ

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2013/11/29 7:00
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 通常の石油由来の樹脂と比べて環境に優しい「バイオプラスチック(バイオプラ)」の活用が拡大してきた。バイオプラの部分的な採用は、既に10年以上前から始まっていたが、従来課題とされてきた耐熱性・耐衝撃性など物性面の改善や供給体制の整備が進み、ようやく「お試しモード」から抜け出しそうな兆しが見えてきた。その証左とも言えるのが、トヨタ自動車が2013年8月に発売したハイブリッド車にバイオプラを大量に採用したことだ。次世代材料として期待される、バイオプラの最新動向を追った。

室内の表面積の約80%にバイオプラスチック(バイオプラ)を採用――。トヨタ自動車が2013年8月29日に発売したハイブリッド車「SAI」は、車室内のシート表皮やフロアカーペット、パッケージ・トレイ・トリムなどの部品に、バイオプラの一種である「バイオPET(ポリエチレンテレフタレート)[注1]」を採用し、バイオプラの適用範囲を大幅に拡大した(図1、図2)。

図1 車室内の表面積の約80%をバイオプラ化した、トヨタ自動車のハイブリッド車「SAI」(写真:トヨタ自動車)

図1 車室内の表面積の約80%をバイオプラ化した、トヨタ自動車のハイブリッド車「SAI」(写真:トヨタ自動車)

図2 SAIにおけるバイオプラの採用部位。トヨタ自動車では、一般的なバイオプラに比べて耐熱性や耐衝撃性などを向上させた植物由来の成分を含むプラスチックを「エコプラスチック」と呼んでいる(写真:トヨタ自動車)

図2 SAIにおけるバイオプラの採用部位。トヨタ自動車では、一般的なバイオプラに比べて耐熱性や耐衝撃性などを向上させた植物由来の成分を含むプラスチックを「エコプラスチック」と呼んでいる(写真:トヨタ自動車)


バイオPETは耐久性に優れ、従来のバイオプラでは適用が難しかったシート表皮やフロアカーペットなどへの採用を可能とした。三菱自動車の電気自動車「i-MiEV」も、シート生地の一部などにバイオPETを採用している(図3)。

図3 三菱自動車の電気自動車「i-MiEV」では、シート生地(右)の一部にバイオPETを使用している(写真:三菱自動車)

図3 三菱自動車の電気自動車「i-MiEV」では、シート生地(右)の一部にバイオPETを使用している(写真:三菱自動車)

■樹脂技術の展示会でも大きな注目

バイオプラは、原料(あるいはその一部)に再生可能な生物資源(バイオマス)を使った樹脂である。いずれは枯渇する石油のような化石資源を使った従来の樹脂(石油由来樹脂)とは異なり、持続可能社会の構築に貢献できるとされている。

バイオマスの中でも植物資源を使うバイオプラ(植物由来樹脂)の場合は、二酸化炭素の排出量の削減に寄与できる可能性もある(ただし、製造工程における消費エネルギーにもよる)。

バイオプラの開発の歴史は、石油由来樹脂と比べて浅い。このため、物性や供給体制、コストなどの面で普及に向けた課題も多い。ただ、この状況が近年、徐々に変わり始めている。新材料の開発や物性の改善、供給体制の整備が進み、いよいよ本格的な普及期を迎えようとしている。

トヨタ自動車のSAIなど自動車での採用は、その証左の一端だ。2013年10月にドイツ・デュッセルドルフで開催された、樹脂技術に関する世界最大の展示会「K」でも、バイオプラが注目トピックの一つになった。大手化学メーカーの欧州BASF、特殊化学品メーカーの独LANXESS、化学メーカーのオーストリアBorealisなど、140を超える企業がバイオプラやその関連技術、サービスについて展示した。

[注1]バイオエタノールを原料としてモノエチレングリコール(MEG)を生成し、これを使って生産したPET(ポリエチレンテレフタレート)のこと。あるいは、植物由来のパラキシレンから誘導したテレフタル酸と、バイオエタノールから生成したMEGから得られる植物度が100%のPETのこと。
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