/

車両基地が国際拠点に、羽田からの「サウスゲート」品川

五輪で変わる東京(3)

 2020年東京五輪の開催が決まり、都市の大改造が加速し始めた。東京は今後どんな姿に変貌するのか――。日経アーキテクチュア編集部が中心となってまとめた「東京大改造マップ2020」では、東京23区内で計画されている延べ面積1万平方メートル以上の大規模開発や、道路・鉄道など交通インフラの情報を網羅的に収集。「東京の未来地図」を作成し、注目エリアの今後を予測した。連載「五輪で変わる東京」では、変貌を遂げる東京の姿を、「街」「道路」「住まい」の観点からそれぞれ見ていく。第3回では、羽田空港と都心の間に位置し、国際拠点としてポテンシャルの高い品川エリアを取り上げる。

海外からの玄関口として品川の重要性が高まりつつある(図1)。羽田空港の国際線発着枠数は2014年3月末に現状の1.5倍に当たる9万回に増える。品川駅から羽田空港までは、京浜急行電鉄の快速特急で約13分と近い。成田空港までも1本の線路でつながっており、構想されている高速鉄道の都心直結線が実現すれば品川から50分弱で結ばれる。

2011年には国が品川駅と田町駅の周辺約184ヘクタールを特定都市再生緊急整備地域と定めた(地図の赤破線内)。都市政策が専門の市川宏雄・明治大学専門大学院長は「品川は国際的な拠点としてのポテンシャルが大きく、業務集積地として浮上する可能性が高い」とみる。

こうした動きを先取りする形で東京都は2007年、優良な開発や都市基盤整備を誘導するためのガイドラインを制定。都心南側の同エリアを「サウスゲート」と位置付けた。

2011年には特定都市再生緊急整備地域に定められたエリアをアジアヘッドクォーター特区として国に申請。指定されて、外国企業が投資しやすくなった。「品川の重要性が高まった。既に駅周辺には多くのオフィスやホテルがあるが、さらに拠点性を高めていく」と東京都都市整備局都市づくり政策部の鈴木理・開発計画推進担当課長は話す。

リニア中央新幹線の始発駅に

品川駅は対空港以外でも、交通の拠点機能が強化される(図2)。

最も大きなプロジェクトとして挙げられるのがリニア中央新幹線だ。東海旅客鉄道(JR東海)が2027年の開業を目指して事業を進めており、品川は始発駅になる。駅は東海道新幹線ホームの地下40メートルに築く。

2015年春には東日本旅客鉄道(JR東日本)が上野東京ラインを開業する。上野より北側を走る常磐線など3線の列車が東京駅や品川駅を経て、東海道線の横浜方面に乗り入れる。品川駅は上野方面からの列車が折り返せるように改良工事中だ。運行上の拠点になる。

道路網も強化される。環状4号線(外苑西通り)を延伸する計画があり(地図A-3)、都が2015年度までの事業着手を検討している。

車両基地に国際的ビジネス街

品川駅と田町駅の間に広がる約20ヘクタールの車両基地については、JR東日本が南北に長い敷地の西側半分(地図B-2、B-3、A-3、A-4)を使って業務ビル街を開発する構想を温めている。既に車両基地の機能を東側半分と品川以外の車両基地に移しており、布石が打たれた状態だ。

このエリアにある京急線・都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅付近に、JR線の新駅を設ける構想がある。泉岳寺駅からは成田と羽田の両空港に乗り換えなしで行け、JR駅が連携すれば交通の要衝となる。休止中のJR貨物線を活用して新駅付近と羽田空港を直結する構想もある。

車両基地の開発に当たっては、サウスゲートとしての地の利を生かす。他のエリアの再開発と同様にオフィスや商業施設、ホテル、住宅などを整備するが、その際に外国人ビジネスパーソンの利用を念頭に置く。

例えばホテルでは、国際会議を開けるコンベンションホールなどの機能を盛り込む。住宅は、外国人向けサービスアパートなどの設置を検討する。オフィスも多国籍企業の日本法人や積極的に海外展開している日本企業などの入居を想定する。

車両基地の開発と連携して、品川駅西口も整備していく。JRの駅はホームや留置線が多く、それらを集約することで種地を生み出せる。駅前のホテル群も再整備を検討する。

田町東口に公益施設を集める

車両基地周辺の開発動向も目が離せない。広大な敷地がまとまっており開発の余地が大きい。

品川駅の北側では、芝浦水再生センターの再開発が進行中だ。東京都が下水処理施設を地下に再構築して、地上の一部をNTT都市開発など4社に貸し出した。4社が延べ面積約21万平方メートルのオフィスビル、品川シーズンテラスを建設中だ(図3、地図B-3)。足元に約3.5ヘクタールの緑地を設ける。緑地は東京湾からの風の道にあり、夏季に都心部を冷やす。

田町駅東口では約7.7ヘクタールの土地区画整理事業を伴う大型の再開発が進む(図4)。東京ガス技術研究所の跡地に港区が公共公益施設、みなとパーク芝浦(地図C-1)を建設中だ。

隣接地には今上天皇の誕生を記念して建てられた愛育病院が、南麻布からの移転先として新病棟を建設している(地図C-1)。

さらに北側では三井不動産レジデンシャルなど5社が延べ面積約10万平方メートル、総戸数883戸の巨大なマンション、港区芝浦グローバルベースプロジェクトを建設(図5、地図C-1)。シンボル的な建物になりそうだ。

(日経アーキテクチュア 高槻長尚)

[日経BPムック『東京大改造マップ2020』の記事を基に再構成]

[参考]日経BP社は2014年2月3日、「東京大改造マップ2020」を発行した。東京五輪決定で活気付く都市改造の最新動向を、日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経不動産マーケット情報、日経ビジネスの各雑誌の記者が取材。建設・建築にとどまらない"東京改造"の影響を、詳細な地図を交えて分かりやすく解説。東京で暮らす都市生活者、東京で働くビジネスパーソンはもちろん、「ビル」や「鉄道」、「地図」や「街歩き」に興味を持つ人も楽しめる。

東京大改造マップ2020 (日経BPムック)

編集:日経アーキテクチュア
出版:日経BP社
価格:1,050円(税込み)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン