改正マンション建て替え円滑化法成立、12月施行へ
老朽化したマンションの売却と解体の決議要件を緩和する「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」(改正マンション建て替え円滑化法)が2014年6月18日、参院本会議で可決し、成立した。同年12月をめどに施行する。
耐震性不足など老朽化が進んだマンションで、区分所有者の5分の4が同意すれば、建物の解体と跡地売却を認められるようになる。改正前は原則、区分所有者全員の同意が必要だった。区分所有者が自力で建て替えるのではなく、跡地を買い受けたデベロッパーなど資金力のある企業による土地活用を進めるルートを設ける。

対象となるのは耐震性が不足するマンションだ。耐震改修促進法に基づく耐震診断を受け、特定行政庁から除却が必要な旨の認定を受ける必要がある。
従来も区分所有法は、区分所有者の5分の4の同意があれば建て替えを認めているが、区分所有者の意見調整に時間がかかった。一方、建物の解体や跡地売却は、民法の原則にのっとって区分所有者全員の同意が必要で現実的ではなかった。
改正マンション建て替え円滑化法では、跡地を買い受けたデベロッパーなどが新たにマンションを建設する際、周辺環境に貢献するなどの条件を満たせば、特定行政庁が認める範囲で容積率を緩和するインセンティブを設けている。マンション以外の用途の建物も建設できる。
国土交通省は、マンションを建て替える際に容積率を緩和する特例の適用要件や、マンション解体後の跡地を売却するために設置するマンション敷地売却組合の役員解任請求の手続きなどに関する政令案について、7月4日までパブリックコメントを募集している。
(日経アーキテクチュア 高市清治)
[ケンプラッツ 2014年6月20日掲載]