「シンビアン」を捨てざるを得なかった巨人・ノキア
「ガラケー」はなぜ負けたのか(2)

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2011/5/20 17:37
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携帯電話の「巨人」であるフィンランドのノキアが2月、これまで育ててきたスマートフォン向けの基本ソフト(OS)を"捨てる"決断をした。米マイクロソフト(MS)との提携により、MSのスマートフォンOSを優先して使い、さらに両社がOSを共同開発すると発表したのだ。4月には全従業員の5%にあたる7000人を削減し、シンビアンのソフト開発やサービス提供を米アクセンチュアへの外部委託に切り替えることを明らかにした。

■「突然の方向転換」の裏にあった戦い

ノキアがパートナーにMSを選んだ理由には「ほかに選択肢がなかった」「マイクロソフトから支払われる10億ドルとされる金額をノキアが高く評価した」といった指摘がある。なかでも有力なのはスマートフォンOSのシェアが上位にある企業の中で唯一、対等に近い関係で手を握れる相手がMSだったという説だ。

米アップルやリサーチ・イン・モーション(カナダ)は独自色が強すぎるし、米グーグルと組むと他の携帯電話メーカーと競い合う格好になる。発表当日のインタビューでもノキアはグーグルとアンドロイドの採用について協議したが「アンドロイドのエコシステム(生態系)のなかでは(製品の)差異化が難しい」として採用を見送ったことを明らかにしている。

世界の携帯電話メーカーでトップの座に君臨してきたノキア。10年には4億6131万台の端末を販売し、世界シェアでは28.9%を占める(米ガートナー調べ)。売上高は424億ユーロ(約4兆9622億円)。日本の携帯電話シェアトップであるシャープが2011年3月期に携帯電話事業であげた売上高4132億円のほぼ12倍に相当する。スマートフォンOSのシェアでもシンビアンがトップで、10年は全世界のスマートフォンの販売台数2億9664万台のうちの37.6%を占めた。

そんなノキアが98年から10年以上にわたって主力OSとして育ててきたシンビアンを捨てる決断をしたことは、突然の方向転換に見える。だが、実際にはこの3年間にわたってノキアは新型スマートフォンの市場で苦しい戦いを強いられており、そこで少しでも優位に立つため背水の陣を敷いたとの見方が多い。これまでの資産を捨ててでも、シンビアンから次のOSに移行する必要に迫られていたのだ。

シンビアンは、日本の富士通やシャープのフィーチャーフォンが、ベースOSとして採用している。ノキアがそのOSを使わなくなると、シンビアンを使ったフィーチャーフォンにも新たな進化が望めなくなる。ノキアの方針転換は日本の携帯メーカーに大きな影響を及ぼす一大事といえる。

■シンビアンの事業モデルの転換を模索していたノキア

シンビアンはそもそも英国サイオン(Psion)社の「EPOC」と呼ばれるPDA(携帯情報端末)用OSをベースに開発された。高度なリアルタイム処理が求められる携帯電話機に適したOSで、日本メーカーでは富士通が先頭を切って自社製品に採用し、三菱電機やシャープなどが追随。NTTドコモのフィーチャーフォン用端末プラットフォーム「MOAP」のベースとなるOSの一つとして使われてきた。

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