家庭用燃料電池、切り札はSOFC 大阪ガスの栢原氏に聞く
編集委員 滝順一

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2010/7/21 7:00
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小型で発電効率の高い次世代型の家庭用燃料電池の開発が進んでいる。都市ガスなどから取り出した水素を空気中の酸素と反応させて電気をつくる燃料電池。次世代型は装置の中核部分にセラミックス材料を採用した。戸建て住宅だけでなくマンションなどにも適し、温暖化ガス削減に大きな貢献が期待できる。大阪ガスで実用化に取り組む同社燃料電池システム部の栢原義孝SOFC開発チームマネジャーに開発の進展状況などを聞いた。

大阪ガスが京セラなど4社と共同開発に取り組む次世代型の家庭用燃料電池(大阪ガス提供)

大阪ガスが京セラなど4社と共同開発に取り組む次世代型の家庭用燃料電池(大阪ガス提供)

――ガス業界は2009年、都市ガスや液化石油ガス(LPG)で発電と給湯ができる家庭用燃料電池システムを「エネファーム」という商品名で発売しました。次世代型の装置はこれとどこが違うのですか。

「エネファームは固体高分子型燃料電池(PEFC)といって、燃料電池の中核部の電解質に高分子樹脂膜を使っている。次世代の固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、そこが特殊なセラミックス材料で、より高温で高効率の化学反応から発電ができる。また電極に高価な貴金属(白金)を使わなくて済むのが特徴だ」

「燃料からどれくらいの電気を作り出せるのかを示す発電効率で、SOFCは従来型より10ポイントほど高い45%を達成できる。60%くらいまで上げられるという実験段階のデータも出ている」

「熱電比が小さいのも特徴だ。熱電比は、最適な運転をした場合に得られる熱と電気の割合で、従来型は熱をたくさん使った方が有利なのに対し、SOFCは熱の使用が控えめな方が効率が高くなる。電気に比べてお湯の使用が少ない少人数の家庭に適している」

「このため、貯湯タンクを従来の200リットルほどから半分の90リットルくらいに小さくでき、設置に必要な広さも半分ほどでいい。マンションなど集合住宅への設置に向いている」

――電解質に採用したセラミックスはどんな素材なのですか。

「ジルコニア系のセラミックスだ。国内では多くの企業がSOFCの実用化に取り組んでおり、電解質にジルコニア系を採用する例が増えている。大阪ガスは京セラと組んで開発を進めており、ほかに日本特殊陶業と日本ガイシのグループ、三菱重工業、NTTと東邦ガスなどのグループもジルコニア系を使う」

「大阪ガスと京セラは04年度に共同開発に着手し、09年度からはトヨタ自動車とアイシン精機が加わって現在は4社共同体制だ。京セラが電解質を含む電池の中核部分をつくり、大阪ガスはコージェネレーション(熱電併給)技術、トヨタとアイシンは全体のシステム技術を担当する」

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