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TPP交渉参加、87%が「評価」

クイックVote第124回解説 編集委員 大石格

安倍晋三首相が下した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加という決断。電子版読者の87.6%が「評価する」との回答でした。自民党支持層への悪影響が懸念されるテーマとあって、決断前後の首相官邸は緊迫感がありましたが、この結果を見る限り、判断は「吉」といえるでしょう。

主要マスコミの世論調査もここで紹介します。

     評価する

朝日新聞   71%

産経新聞   64%

毎日新聞   63%

読売新聞   60%

安倍首相はTPPの長所について(1)停滞していた日本経済に刺激を与える(2)日米関係強化で安保面でのメリットもある――などと指摘しました。国益を損なう可能性もあるなどの率直な物言いも好感を得たようです。

市場経済を重視する読者が多いと思われる本欄読者ほどではないにせよ、首相の決断をしっかり受け止めた読者が多いといえそうです。

「評価する」と答えた本欄読者のコメントをみてみましょう。

○貿易立国として当然(33歳、男性)

○日本が生き残る道(60歳、男性)

○交渉を有利に運ぶためには遅すぎたぐらいだ(51歳、女性)

条件付きとか、ためらいながら、とかではなく、参加以外にあり得ないとの意見がほとんどでした。

回答者の内訳
総数2335人
男性94%
女性6%
20代6%
30代13%
40代19%
50代24%
60代27%
70代10%
80代以上1%

次に「評価しない」という方のコメントです。こちらは(1)TPP反対(2)出遅れ参加は不利(3)日本に不利な内容が含まれる――の3つが主な意見でした。

○日本に新自由主義的な政策は不向きだ(42歳、男性)

○合意済み事項をのまなくてはならない(41歳、女性)

○国と投資家の紛争に関するISD条項が問題点(58歳、男性)

TPP交渉への参加に際して政府は日本経済が得るであろう利益に関する試算を発表しました。国内総生産(GDP)を3.2兆円増やすという内容ですが、試算は信用できるという回答は半数にあと少し届きませんでした。

得するかどうかはよく分からないけど、とにかく参加すべきだということでしょうか。政府の言い分は信用できないわりには、TPP交渉参加に賛成が多い感じです。

「信用できる」という方のコメントです。

○実際はもっと大きいと思う(73歳、男性)

○間接的な効果も加味するともっと増える(64歳、男性)

○金額よりも方向性で考えるべきだ(52歳、男性)

中国包囲網づくりなど目先の金銭的利益では測れない部分に期待する読者が多いということのようです。

「信用できない」のうち、そもそも安倍首相が嫌いだとか、TPP絶対反対だとかのコメントを除くと、

○やってみなければわからない(49歳、男性)

○根拠が知りたい(49歳、男性)

などが主な意見でした。

TPPで影響を受けるとされるどの分野を重視して交渉に臨めばよいのか。一番多かったのは当然ながら農業でした。

○農業をうまくハンドリングしないと選挙に影響する(62歳、男性)

○食の安全を確保してほしい(63歳、男性)

○主食ぐらいは守るべきだ(51歳、女性)

闇雲に「農業を守れ」というのではなく、最低限の条件付けが必要との意見のようです。

次に多かったのが、医療・医薬品です。

○日本への輸出は日本の基準に合わせてもらわねばならない(67歳、男性)

日本では新薬の承認に時間がかかるのは事実ですが、危ない薬まで承認されてしまうのではないか。そんな懸念はもっともです。

金融・保険を挙げた読者からは

○米国が狙っているのは郵貯マネー(64歳、男性)

などの意見がありました。

その他として読者が例示したのは

○知財・認証

○電機

などですが、すぐ訴訟に訴える米国風のやり方とかが入ってきそうで嫌だという指摘もありました。

最後の農業保護にどれだけ財政出動するかです。農業団体はコメの輸入を解禁したウルグアイ・ラウンドの際の6兆円を上回る対策費を狙っていますが、読者の反応は極めて冷ややかでした。

○見えざる手に従って生産性の低い農家は淘汰されるべきだ(22歳、男性)

○TPP参加を支持するのは外圧で日本の農業構造を変えると期待するから(32歳、男性)

など若い読者を中心に構造改革待望論が圧倒的多数を占めました。

首相は「日本の農業と食は必ず守ります」と語っていますが、守り方については税金の無駄なばらまきにならないようによく考えてもらいたいものです。

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安倍内閣の支持率は82.7%でした。これで3回目の8割台。政権は引き続き盤石といってよいでしょう。

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