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「経理いらず」のクラウド会計 元グーグル社員が起業

個人・中小向け、入力作業時間は「50分の1」

 元グーグル社員らが立ち上げたベンチャーのCFO(東京・台東)が19日、「経理担当いらず」を旗印としたクラウド会計サービスを開始した。対象は個人事業主や中小企業、ベンチャーなど経理業務に手が回らない企業が中心。青色申告に対応した個人事業主プランは月額980円から、会社法に対応したプランは月額1980円から。それぞれ銀行やクレジットカードのオンライン明細を自動で取り込むなど、大幅に経理業務の手間を省けるのが特徴だ。
19日からサービスを開始した「freee(フリー)」のウェブサイト

CFOが始めたクラウド会計サービスは「freee (フリー、www.freee.co.jp) 」で、立ち上げたのは元グーグル社員の佐々木大輔氏。グーグル日本法人で中小企業向けアドワーズ広告事業のマーケティングチームを立ち上げた後、アジア・太平洋地域での同マーケティングを統括したという経歴の持ち主だ。月の半分以上はインド、シンガポール、シドニーなどに出張していたという。佐々木氏はグーグル以前に小規模のベンチャーで執行役員を務めたこともあり、「ベンチャーや中小企業を経理業務の煩わしさから解放してあげたかった」と話す。

銀行口座やクレジットカードのウェブ明細から自動登録

フリーの特徴は、経理の選任担当者ではなく、会計知識がないような人でも簡単に扱えるようにした点。入出金の情報はウェブから自動で取り込めるほか、取り込んだ情報の勘定科目を自動で登録する「自動仕訳」機能などを取り入れた。一連の機能は特許出願中だ。

銀行口座やクレジットカードのウェブ明細から入出金記録を取り込み、自動仕訳された会計情報の画面イメージ

具体的には、ウェブ明細が取得できる銀行・クレジットカードの記録と同期する機能が中核となる。例えば、電気代が銀行口座から引き落とされたり、クレジットカードから支払いがされたりした場合、フリーが自動で情報を取り込み、「水道光熱費」の勘定科目として経費の支出に組み込まれる。

CFOの社長を務める佐々木氏は「支払いや入金を銀行口座やクレジットカードに集約していけば経理作業を大幅に楽にできる新たなインターフェースを目指した。入出金の明細から勘定科目はある程度想像できる。不確定なものでも、予測変換のように該当する勘定科目の候補が浮かび、クリックして選択していくだけでどんどん帳簿に入る。ユーザーは承認するだけ。手入力に比べ、時間的には50分の1程度に短縮される」と説明する。

自動で同期できる個人の銀行口座は、みずほ、三井住友、三菱東京UFJ、りそな、ジャパンネットなど8行に対応。法人向け銀行口座との自動同期は銀行側の仕組みにより楽天銀行と住信SBIネット銀行に限られるが、それ以外でも明細のCSVファイルなどをダウンロードし、その情報を取り込むことは可能だ。クレジットカードは主要な9社に対応している。

クラウドならではのバリューを追求

各種会計レポートのほか、月次の損益計算書、決算書なども作成してくれる

自動で取り込まれ、ユーザーにクリック1つで承認されていった入出金記録はグラフや表を使った「収入レポート」や「売掛金レポート」、「最近の収支の推移」といったリポートとしてまとめられる。月次の損益計算書のほかに青色申告や会社法に対応した決算書も作成してくれる。青色申告用の用紙に数字を記載したPDFデータの出力も可能だ。

主な想定ユーザーは、青色申告を必要とする個人事業主やスタートアップのベンチャー、10人程度の規模の中小企業など。利用料金は個人事業主プランが月額980円、会社法に対応した法人プランが月額1980円。ともに登録されたデータの保存期間に制限はなく、1契約あたり3ユーザーまで利用できる。ただし、今年6月末まで、全て無料で利用できるキャンペーンを実施するほか、1カ月間ならいつでも無料でお試し利用ができる。

勘定科目は一覧から任意に登録することも可能。ウェブ明細に表示される企業名から科目を類推する「予測機能」の精度はユーザーが利用すればするほど上がっていくという

「機能的には"価格破壊"といってもいい。『勘定奉行』や『弥生会計』に機能面では若干劣るが、経理業務に関する基本的な機能はそろっている。クラウドサービスなので、高度な機能も順次、追加していく。勘定科目の自動仕訳や予測表示機能も、みんながキーワードに対する科目を確定させていくことでシステムが学習し、精度はどんどん上がる。単に、会計ソフトをクラウドに置くのではなく、クラウドならではのバリューを追求していきたい」

こう語る佐々木氏は、「国内で毎年、新たにビジネスを立ち上げる人は約20万人いるといわれている。初年度にその5%、1万アカウントを狙いたい」という目標を掲げる。「法人向けサービスなので、一般ユーザー向けのソーシャルメディアなどに比べるとハードルは高い」。ただし、先には海外市場も見据えている。

狙うはグローバル市場

「経理業務にてこずる人たちは世界中にいる。米シリコンバレーのベンチャーキャピタルにも出資してもらっているので、ゆくゆくは多言語化、現地化をして、グローバルで会計クラウドのスタンダードを狙いたい。5年後に10カ国200万ユーザーのイメージ」(佐々木氏)

グローバル展開ではグーグル時代に世界を飛び回った経験や人脈が生きてくる。米グーグルは何人ものスター経営者を輩出しているが、日本法人からも出てくるか。挑戦は始まった。

(電子報道部 井上理)

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