峰越え谷駆け「鉄人」に 奈良の秘境で過酷レース

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2013/11/29 7:00
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険しい山の中を走るトレイルランニング(トレラン)。美しい景観を楽しみながら自然の中を駆け抜ける爽快感を味わえる一方、100キロを超えるレースもあり、己の限界に挑む過酷さを併せ持つスポーツだ。近年人気が高まっており、国内の競技人口を30万~50万人とみる関係者もいる。

鬱蒼として昼間でも薄暗い山中を走る(大阪府河内長野市)=写真 井上昭義

鬱蒼として昼間でも薄暗い山中を走る(大阪府河内長野市)=写真 井上昭義

11月16日午前8時、奈良県葛城市。大阪との県境にある二上山の麓に、色とりどりの装備を身に着けたランナーが続々と集まってきた。「第2回ダイヤモンドトレイルラン」に参加する総勢約330人のランナーだ。大半は大阪や京都など近畿からの参加者だが、首都圏や北海道から来た人もいる。

奈良・大阪・和歌山の県境を走行

コースは全長36キロ。二上山から金剛山地を南下、大和葛城山、金剛山を通った後、大阪・和歌山県境の和泉山地を西に向かい紀見峠まで。文字通り山あり谷ありのコースだ。制限時間の8時間に対し、登山のコース所要時間は単純に足すと14時間。遠征組の記者は前日午後11時に自家用車で出発し、スタート地点から離れたゴール付近に駐車して仮眠。電車と徒歩で1時間半かけてスタート地点にたどり着いた。

約330人のランナーが組ごとにスタート。北海道や首都圏からの遠征組も(奈良県葛城市)

約330人のランナーが組ごとにスタート。北海道や首都圏からの遠征組も(奈良県葛城市)

目の前には鬱蒼(うっそう)とした雄岳と雌岳からなる二上山が。雄岳頂上には飛鳥時代、英才をうたわれながら謀反の疑いで自死せざるを得なかった天武天皇の子息・大津皇子が眠る。この山は五木寛之氏の小説「風の王国」の舞台としても登場し、そろいの法被を身にまとった謎の集団が考えられないほどのスピードで秘境のような二上山を駆け抜けている。

午前8時36分、ピストルが鳴り、私も含めた3組目の数十人が走り始めた。今回が記者にとって4回目のレース。背中のトレラン用リュックには水、携帯食料、雨合羽が入っている。取材用のコンパクトカメラとペン、メモも忘れずに。空は快晴。急な登りの険しいコースと聞いている。周囲に流されず前半は抑えて、下りの多い後半勝負。目標は6時間台だが、あくまでケガをせず楽しく走りきることを心がけたい。

走ってスタート、すぐに早歩きに

さて「走り始めた」と書いたが、スタート直後、実際に走ったのは30秒だけ。山頂への登り道に入った途端、早歩きに切り替える。「真面目に走れ」と言うなかれ、登りは歩くだけでも息が切れ、体力を消耗するのだ。

「山を走り続ける」とはトレランに対する大きな誤解の一つ。歩くこともある。むしろ私の場合、歩く時間の方が長い。トップ選手のように走って登りたいのは山々だが、そんなむちゃをしたらたちまち体力が尽きてしまう。登りがあれば必ず下りがある。道が平らや下りになったら走ればいい。レース参加者の半分以上は登りは歩く「ランナー」だった。

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