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島根県が音声認識システムを救急現場に試験導入

テックシロシステム、呉電子計算センターおよび島根大学医学部救急医学講座は、救急医療現場で利用する音声認識システムを共同開発した。2012年11月からの半年間、島根県出雲市消防本部が試験導入する。

現場マネージャーくんを搭載した端末と、登録した医療行為名の例

テックシロシステムらが開発したのは、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)で利用できる、救急隊員向け音声認識システム「現場マネージャーくん」。救急車の出動時に、救急救命士が出動先で救護者や患者に対して行う、心肺蘇生法(CPR)などの特定の医療行為を音声で時間と共に記録できる。

島根県では、救急救命士が救急現場で特定医療行為をする際は、携帯電話機などを用いて医師の指示をあおぎながら行うことになっている。しかも、救急現場で医療行為の内容をその時間と共に記録し、総務省に報告する義務を救急救命士に課している。

しかし、一刻を争う救急現場では詳細な記録を取るのが難しく、これまでは救急救命士の記憶に頼るか、あるいは手袋などにメモを取るのが実態となっていた。

今回開発した現場マネージャーくんを用いると、コードレス、ハンズフリーのまま特定医療行為の名前を話すだけで自動的に記録され、メモを取る手間から開放されるという。

現場マネージャーくんは、OSとして米MicrosoftのWindows MobileまたはWindows 7を搭載した携帯端末と、それらの端末で動作するソフトウエア、さらには通信ネットワークや管理用サーバーなどから成る。これにマイク付きのヘッドセットを併せて利用すると認識率が高まるという。加えて、パソコンがあれば、携帯端末に記録したテキスト・データを読み出し、整理することなどに役立つとする。

携帯端末向けソフトウエアはテックシロシステムが開発した。具体的には、同社が障害者向けに開発していた音声認識ミドルウエア「VoiceCan Tool」を救急医療用に応用した。このミドルウエアは、音声認識エンジンとしてアドバンスト・メディアなどが開発した「AmiVoice」を用いている。AmiVoiceは、2012年11月にKDDIがスマートフォン向けにサービスを開始する音声インタフェース機能「おはなしアシスタント」にも採用された。

雑音に強いのが特徴

出雲市消防本部は、既にさまざまな場所で試作システムの動作テストを繰り返しており、「ヘッドセットと併せて使えば、誤認はほとんどない」(出雲市消防本部救急救命士 消防司令補の吉井友和氏)という結果が得られたとする。周囲が騒がしい環境、例えば、パチンコ店内、ドクターヘリの中、居酒屋などでテストしても問題がないとする。

雑音に強い理由は大きく二つある。一つはヘッドセットに用いたマイクの指向性が高いため。もう一つは、現場マネージャーくんには特定医療行為の名前だけを登録しており、余計な言葉を拾わないためだという。例えば、「CPR開始」で登録しておくと、「CPRを開始」では認識しない。これも登録すれば認識するが、救急現場の立場からはむしろ「認識はファジーでない方が良い」(吉井氏)という。

テックシロシステムなどは今後、試験導入の結果を基にした機能強化を進めると同時に、認識した結果をネットワーク経由でサーバーに記録する機能などを実装していくという。

(日経エレクトロニクス 野澤哲生)

[Tech-On! 2012年10月19日掲載]

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