被災地で静かに広がる「グローバル化」の波
野菜と人を育てる――多国籍で取り組む復興プロジェクト

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2011/12/20付
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 12月11日。東日本大震災から9カ月が経った宮城県南三陸町の荒野は、ススキが夕陽を浴びて黄金色に輝いていた。

 海に近づくと、いまだ津波に押し流された車や瓦礫が野ざらしになっている。何も進んでいないのか――。一瞬、そう思った。しかし、被災地の復興活動は静かに、だが着実に続けられていた。

 記者は「復興ニッポン」(http://rebuild.nikkeibp.co.jp/)で、ある農業プロジェクトを取材した。「Green Farmers Association(グリーン・ファーマーズ・アソシエーション)」。多国籍スタッフで構成する社団法人「オージーエー・フォー・エイド」(以下O.G.A)が手がける農業プロジェクトで、地域主導で継続可能な経済活動の仕組み構築を目指している。

 被災地の雇用を増やしつつ、農業や地域経済の活性化を促す。その先に、震災からの復旧・復興への意欲と達成感を生み出そうという壮大なプロジェクトだ。地域循環型の農業プロジェクトは注目を浴びつつあり、その熱心かつ大胆な取り組みを見ようと、最近では米領事館も視察に訪れているという。

南三陸ホテル観洋の対岸には、いまだ瓦礫の山が広がる

南三陸ホテル観洋の対岸には、いまだ瓦礫の山が広がる

 活動の中心を担うのは、O.G.Aのアンジェラ・オルティス氏とケイ・ワタベ氏。初めて彼らに出会った日から、およそ4カ月が過ぎていた。今、彼らが地域住民と協力しながら開墾した畑の数は20以上に増え、うち11の畑では冬野菜が育っている。畑で取れた野菜は周辺の仮設住宅などに販売されている。

 「今年はパイロット版のプロジェクトでした。何年間も使われていなかった土地だけに、農業用地に仕上げるにも時間がかかります。土地の状態はどうか、作物が身をつけるのか、味はどうか。一つひとつ確かめながら進めてきた結果、品質的に優れた野菜が収穫できると確認できました」。オルティス氏はこの半年をそう振り返る。

 2012年からは、本格販売に向けて農作物の生産量を倍増する予定だ。仮設住宅はもちろん、全国に食品スーパーを展開する大手流通でも販売を検討中だ。漬物など野菜の二次加工も視野に入れている。

 「ゆくゆくは、南三陸のブランドを作りたい」。思いは膨らむ。そして、南三陸で育まれているのは、農作物だけではなかった。

学ぶことが生きる力を刺激する

観洋の地下に設けられたコミュニティ・ラーニング・センター。パソコンや英会話をはじめ、スキルアップにつながる様々な教室を開講する。年齢や性別を問わず皆が楽しめるイベントも随時開催する予定だ

観洋の地下に設けられたコミュニティ・ラーニング・センター。パソコンや英会話をはじめ、スキルアップにつながる様々な教室を開講する。年齢や性別を問わず皆が楽しめるイベントも随時開催する予定だ

 12月18日。南三陸の沿岸に立つ「南三陸ホテル観洋」で、新たなプロジェクトが本格稼動を始める。

 物置と化していた地下の宴会場は、すっかり様変わりしていた。各テーブルには新品のパソコンがずらり並ぶ。「コミュニティ・ラーニング・センター」と名づけられたこの場所で、被災地の地域住民を対象としたパソコン教室や英会話教室が開かれる。

 教室だけではない。自由に使えるインターネットコーナーのほか、海外の雑誌なども取り揃えたライブラリー、子供用のゲームコーナーや小さな子供が自由に遊べるスペースも用意する。「教育プログラムを提供し、長い目で地域の経済的向上に寄与する」との目標を掲げ、あらゆる年齢層の住民を対象に、スキルを高め、視野を広げる機会を創出する。

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