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名物ホールの上に超高層 大阪・中之島

南西から見たフェスティバルタワーの全景。最高高さは198.96m。堂島川と土佐堀川に囲まれた中之島エリアで、現在、最も高い。写真左手前の西地区と合わせて特区に認定されており、ツインタワーとなる予定だ(写真:生田将人)

大阪・中之島の「フェスティバルホール」が高層オフィスとの複合施設に生まれ変わった。上部のオフィスの荷重を下部のホール外周に並べた柱で受ける。大ホールと1フロア2710m2(平方メートル)の無柱のオフィスを両立した。

フェスティバルホールと言えば、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、ルイ・アームストロングなど世界の有名音楽家が名演を繰り広げたことで有名なホールだ。開館は1958年。いつしか「音楽の殿堂」と呼ばれ、歌手の山下達郎氏やさだまさし氏も絶賛。建て替えが決まったときには、反対運動が起こったほどファンの多いホールだった。

フェスティバルホールのあった新朝日ビルディングが建て替えることになり、ホールは2008年12月末に閉館。4年の歳月を経て、新しいフェスティバルホールの入る中之島フェスティバルタワーが12年11月に完成した(図1)。

図1 大ホールの上に載る超高層オフィス(写真:生田将人)

フェスティバルホールの上には、発注者である朝日新聞社の大阪本社や賃貸オフィスが入る。ホールのこけら落としは13年4月とまだ先だが、地下1階から地上2階と12階、13階、37階の商業施設「フェスティバルプラザ」やオフィス部分は12年11月28日にオープンした。

旧ホールのデザインを踏襲

写真1 間口は以前と同じながら可動式になったホール舞台。舞台の間口はこれまで30mだったが、24.5mから30mまでの可動式に変わった(写真:生田将人)

設計を担当した日建設計の江副敏史執行役員設計担当プリンシパルは、建て替えに際し、「基本的なデザインは以前のものを踏襲し、質の面でグレードアップすることを意識した」と話す。旧ホールの基調色である赤、黒、金を新ホールでも採用。ホール内部の天井面も旧ホールと同じ波形リブを使う。

大きく変化したのはホールの面積だ。新ホールは総面積が788m2から1580m2へと拡大。舞台の奥行きや袖舞台などを広げた(写真1)。

座席数は2700席と建て替え前と同じだが、全2階席から全3階席へと変更した。各座席を一回り大きくし前後間隔を4cm広げて、ゆとりある鑑賞空間にした。舞台から客席最後部までの距離は、旧ホールの2階席最後部より、新ホールの3階席最後部の方が短くなっている。

写真2 れんがと赤じゅうたんで出迎えるフェスティバルホールの入り口にある大階段。赤じゅうたんとLEDを用いた照明で音楽ホールの非日常的な空間を演出する(写真:生田将人)

評価の高かった音響については、「旧ホールの天井から降り注ぐような音の伝わり方を継承し、側面にある音響反射板の凹凸を1つずつ変え、より深い響きになるようにした」(ホール内部を担当した日建設計監理部門監理部の甲勝之主管)。天井には、旧ホールと同様の羽板を平行に組んで取り付けた。さらに、舞台背景や側面に、国内最大級である総重量120トンの音響反射板を設置。音響反射板は公演に合わせて動かすことができる。

ホールに至る大階段や低層部の外壁にはれんがを採用(写真2)。柔らかい印象に見えるよう、3色で濃淡を付けた。れんがは特注の大判で、幅54cm、高さ13.5cm、厚さ8cm。1枚当たり10kgの重さがあり、約22万個を職人が手作業で積んだ。日建設計設計部の山本武志主管は、「タイルは落下する危険がゼロではない。初期投資はかかるが将来の維持管理コストを考えればれんがも変わらないと考えた」と話す。

メガトラスと大臣柱で実現

大ホールの上には、センターコアのオフィスが載る。これは設計者らが「大臣柱」と呼ぶ計16本のホール外周柱と、約60m四方、高さ約20mの立体トラスである「メガトラス」とによって実現した。センターコアのオフィスの荷重をメガトラスを介して大臣柱に移し替える構造だ。メガトラスの一部は13階のスカイロビーで見ることができる(写真3写真4)。

写真3 13階のスカイロビーにはメガトラス。スカイロビーはオフィス階へ向かうエレベーターへの乗り換え階でもある。メガトラスを見せつつ、緑を巡らせた。勤務する人や来訪者の交流の場にもなる(写真:生田将人)
写真4 施工中から存在感が際立つメガトラス。施工中だった2011年6月時点の様子(写真:生田将人)
写真5 貸室面積1フロア2710m2の無柱空間のオフィス。1800mm間隔で並ぶ外周の柱とセンターコアで無柱空間を実現。ワンフロア貸しだけでなく、フロアを小割りして貸しやすくできるようにした(写真:生田将人)

オフィス階は約60m四方のセンターコア形式。どの方向も外壁から15m内側まで柱がない(写真5)。

日建設計設計部の中島究主管は「外周部を1800mm間隔で囲む柱により、室内に柱型を出さずに済んだ」と説明する。

センターコア形式を採用したことにより、ワンフロア最大16分割まで可能。レンタブル比は80%と高い。竣工前までに9割以上のスペースのテナントが決まり、順調な滑り出しだ。

(日経アーキテクチュア 岡本藍)

[ケンプラッツ2013年1月18日掲載]

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