愛について君は何を知っている  ホンダの「ワイガヤ」(3)

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2012/8/2 7:00
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 ホンダでエアバッグを開発した小林三郎氏(現在は中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授、元・ホンダ 経営企画部長)が、ホンダ流のアプローチを紹介しつつイノベーションの本質に迫る本連載。前々回からはイノベーションを加速する仕掛けの一つである「ワイガヤ」について解説している。今回と次回は、その実践編をお伝えする。(日経ものづくり編集部)

筆者は、講演や授業などで「5秒で答えてください」と断ってから、必ず聞くことが3つある。

(1)あなたの会社(組織)の存在意義は

(2)愛とは何か

(3)あなたの人生の目的は何か

これがワイガヤの基本なのである。日経ものづくり誌の記者が本連載のことで最初に来たとき、「日経ものづくりは何のためにあるのか。5秒で答えてください」と聞いてみた。何と答えたかは正確には覚えていない。たぶん、「製造業の課題解決と技術革新を支援する」うんぬん、というような内容だったと思う。

もう読者の皆さんには想像がつくと思うが、そんな答えは駄目である。本連載の『俺が死ねと言ったなら ホンダの哲学「自律、信頼、平等」(前編)』などで何度も強調したように、既に文書になっているような、使い回しが利く言葉では心に響かない。自分の会社や組織の存在意義くらい、自分の魂の言葉で語れるようにしなければ話は始まらないのだ。

ホンダでエアバッグを開発した小林三郎氏(現在は中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授、元・ホンダ 経営企画部長)。 (写真:栗原克己)

ホンダでエアバッグを開発した小林三郎氏(現在は中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授、元・ホンダ 経営企画部長)。 (写真:栗原克己)

本稿は日経ものづくりでの連載を再構成したものなので同誌を例にとって説明したが、会社や組織の存在意義を語れる人は、実は全くといっていいほどいない。そもそも今の会社は、そんなことは求めていない。成果主義(多くの場合、どれだけもうけたかが成果だ)の名の下に社員には「ミッション」が課せられ、そのミッションをいかに効率的に処理したかによって評価される。会社の存在意義などを持ち出そうものなら、「余計なことを言うな」と上司からにらまれるのがオチだ。会社や組織の存在意義といった本質や根本を考える価値観は根こそぎ刈り取られてしまっている。

これは、一般社員だけではなく課長や部長も同様である。それどころか、社長をはじめとする経営陣までも会社の存在意義を考えていない。このため、会社は哲学をなくし、根無し草のように利益を求めて漂流することになる。しかし、そんな会社が利益を上げられるだろうか。基本に立ち返り、自分の会社の存在意義、つまりどんな新しい価値をお客様に提供して喜んでもらうかをしっかり考えるべきである。

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