心臓シミュレーターで「仮想手術」、富士通らが開発

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2014/3/19付
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富士通は2014年3月18日、ヘルスケア事業に関する同社の取り組みを紹介する記者説明会を開催した。心臓シミュレーター、IT(情報技術)創薬、医療情報のデータベース化などの研究開発について、最新動向を解説した。

中でも早期に応用できそうな成果を示したのが、富士通 ヘルスケア・文教システム事業本部 生体シミュレーション開発室の門岡良昌室長が説明した心臓シミュレーター「UT-Heart」である。同社が、東京大学大学院の久田俊明教授、杉浦清了教授などと共同開発を進めているものだ。

写真1 心室再同期療法CRTシミュレーションで、既に治療済みの患者に「仮想手術」を実施する

写真1 心室再同期療法CRTシミュレーションで、既に治療済みの患者に「仮想手術」を実施する

今回、門岡室長が紹介したのは「心室再同期療法CRTシミュレーション」と呼ばれる取り組み。治療を受けた患者の心臓を個別にモデル化して、より優れた治療の可能性を探るものだ。東大医学部研究倫理委員会の承認の元に行われた。

心臓をモデル化したのは、心筋梗塞を起こして治療を受けた73歳男性(写真1)。心筋梗塞によって拍動に必要な電気信号が心臓の右側に届くのが遅くなり、拍動のタイミングが左右でずれる(心室同期不全)ようになった。この結果、心臓が血液を送り出す力が著しく損なわれたという。この患者は、ペースメーカーを心臓に埋め込んで左右の拍動を同期させる「心室再同期療法(CRT)」と呼ばれる治療法を受け、回復した。

ただこの治療法には、侵襲的(患者への負担がある)かつ高額であるにもかかわらず、患者の3割には効果が見られないという難点があったという。

■血液心拍出量高められる電極配置を算出

そこで東大と富士通は共同で、心臓シミュレーターを使い、治療法の成功率を高める研究を始めた。患者ごとの心臓モデルを基に、東大のPCクラスターで心臓の挙動をシミュレートする。「理化学研究所のスパコン『京』を使った心臓シミュレーターと比べて計算規模は小さいが、心臓の機械的な動きと電気的な振る舞いを同時に素早くシミュレートできるようにした」(門岡室長)。

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