/

トレーラーハウスで被災地を支援

建築設計者の山下保博氏(アトリエ・天工人代表)が理事長を務めるNPO法人N・C・Sは2011年5月16日、日本トレーラーハウス協会と共同で、東日本大震災の被災者に対する住宅供給プロジェクト「モバイル・すまいる」を開始すると発表した。

トレーラーハウスを応急仮設住宅とし、将来は別の場所に移動して常設住宅としても利用できる仕様とする。移動や設置に関する費用を含め1戸当たり500万円程度で、2011年6月から供給を開始する予定だ。「できるだけ現地に負担をかけず、早く、安く、美しい住宅を供給したいと考えた。せっかくつくるのだから30年以上は暮らせるものを目指した」と山下氏は話す。

トレーラーハウスは、2002年の全国建築主事行政会議で設置基準が定められ、日本トレーラーハウス協会がこの設置基準を基に策定した「日本トレーラーハウス協会設置検査基準」を満たせば、建築基準法上の建築物には該当しない。

同基準の内容は次の通り。(1)車輪が取り外されていないこと、また、車輪が走行可能な状態に保守されていること、(2)車輪以外の物で地盤上に支持されている場合、その支持構造体の取り外しが工具を使わずにできること、(3)トレーラーハウスの進行方向に地面に固定された障害物がないこと、(4)トレーラーハウスの設置場所から公道に至る通路が確保されていること、(5)階段やウッドデッキなどが併設されている場合、それらが独立した構造体であること、(6)トレーラーハウスが併設されている場合、併設されているハウスが工具を用いずに分離できること、(7)トレーラーハウスの高さが4100mm以内になっていること、(8)給水管の接続方法が、工具を使わずに着脱できること、(9)排水管の接続方法が、工具を使わずに着脱できること、(10)電気の配線方法が、工具を使わずに着脱できること、(11)ガスボンベがトレーラーハウスに積載されているか、またはレンチで簡単に着脱できること、(12)電話・インターネット等の接続方法が、工具を使わずに着脱できること、(13)冷暖房器具等の室外機がトレーラーハウスに積載されていること、の13項目だ。

12坪、8坪、5坪の3タイプを用意

今回の「モバイル・すまいる」もこの設置検査基準に基づいた仕様とすることで、建築基準法の建築物には該当しない。仮設住宅の段階では車輪を付けたままで利用し、給排水管や電気などの接続が工具を使わずに着脱できるようにする。常設として使う時には車輪を外す。

今回、提案している住宅は3タイプある。Aタイプは、一般的なトレーラーハウスである、奥行き3.02m、幅12.74mで延べ面積が12坪。Bタイプは奥行き2.275m、幅8.047m、延べ面積5坪で、Cタイプは奥行き5.76m、幅6.37m、延べ面積8坪だ。Aタイプの場合、12.5畳のリビングに、2.5畳の個室が2つ、計6畳分のロフトスペースがある。キッチン設備や浴室などの設備も備える。価格は、10戸建てる場合で、Aタイプが1戸当たり500万円、Bタイプは同300万~350万円、Cタイプは550万円である。複数のタイプを組み合わせて利用することも可能だ。

外壁は発泡ウレタンを吹き付けた上に、ムク材を貼った。「断熱性能は常設の住宅と同等かそれ以上、確保してある」と山下氏は説明する。将来、常設の住宅として利用できるように、「必要な壁量など確認申請を通すことができるように設計した」(同氏)。常設の住宅として利用する場合には、複数のトレーラーハウスを組み合わせて増築したり、改修したりすることもできる。

茨城県などで製作し、被災地へ輸送し設置する。製作にかかる期間は約3週間。既に、国土交通省や宮城県の応急仮設住宅の事業者リストにも載っている。「発注があればすぐにでも提供できるよう、施工会社7社、建材メーカー6社、3000人以上の職人などと協力関係を結んでいる」(山下氏)

現地の協力施工会社や、個人が一時的な避難住宅として発注する際に土地を提供してくれる所有者、スポンサー企業などを募集している。詳しくは、「モバイル・すまいる」プロジェクトのホームページ(http://www.mobile-smile.com)に掲載している。

(日経アーキテクチュア 岡本藍)

[ケンプラッツ 2011年5月18日掲載]

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン