大津波で鉄筋コンクリート造の建物が横転した理由

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2012/1/18付
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 津波で周囲の水深が15mに達した時点で、建物は自重の5倍に相当する津波の水平力を受けて転倒。一方、く体に生じた浮力が転倒に及ぼす影響は小さかった――。

宮城県女川町で横転した4階建て鉄筋コンクリート(RC)造の建物を海側から見る。2011年4月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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宮城県女川町で横転した4階建て鉄筋コンクリート(RC)造の建物を海側から見る。2011年4月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)

 東日本大震災の津波によって、宮城県女川町にある複数のRC(鉄筋コンクリート)造の建物が横転した。国土交通省が津波避難ビルなどの構造的な安全性を検討するなかで、横転に至るメカニズムが次第に明らかとなってきた。

 RC造の建物は従来、津波に対して強いと言われてきた。自重が大きく、耐震要素を兼ねる丈夫な壁などを備えているからだ。

 女川町で横転した建物を巡っては当初、津波の水平力のほか、開口部が少ないく体に浮力が作用したことなど、様々な原因が推測された。上向きの浮力が加われば、建物の自重が相対的に小さくなり、より小さな水平力で転倒する恐れがある。

 東京大学生産技術研究所の中埜良昭教授らは、開口部の比率や浮力などが建物の転倒に及ぼす影響を詳細に分析した。

 対象としたのは、女川町で横転した4階建てRC造の建物。床平面4m×6m、階高3mの耐力壁付きラーメン構造で、外壁面に占める開口部の比率は5.2%だった。

■浮力によって見かけの自重は32%に

 この建物は津波を受けて横転し、地震前に建っていた位置から約70m山側に移動した。基礎にあった直径30cmのPC(プレキャストコンクリート)杭の大部分は、杭頭部がフーチングに埋め込まれた状態のまま破断していた。女川町における津波の浸水深は最大で約15m。東北大学災害制御研究センターの越村俊一准教授らの調査によると、ピーク時には6分間で水位が12m上昇した。

建物が地震前に建っていた場所には、引き抜けた杭や破断した杭が残っていた。写真奥に横転して流された建物が見える(写真:土木学会)
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建物が地震前に建っていた場所には、引き抜けた杭や破断した杭が残っていた。写真奥に横転して流された建物が見える(写真:土木学会)

破断した杭の断面(写真:土木学会)
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破断した杭の断面(写真:土木学会)


 こうした条件に基づいて、中埜教授らはまず、津波を受けた際に建物の正面と側面の開口部から流入する水の量を算定。建物内部の浸水状態を考慮して浮力を求めた。

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