スマホに中年を誘う、初代「ドラクエ」起爆剤に
ジャーナリスト 新 清士

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2013/12/23 7:00
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プレーヤーはゲーム内でモンスターと戦って経験を積み、レベルアップして武器を獲得しながら闇の竜王を倒すために必要な手段を一つ一つ獲得していく。「敗北、死、身体の衰えといったプレーヤーを不快にする要素を丁寧に排除し、目的実現に向けてプレーヤーが進歩と成長を続けられるように設計されている」(七邊氏)

「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」公式ページ

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■クリアすることで大きな達成感

ゲーム内で戦い続けていると、プレーヤーが操作する主人公は必ず成長し、いずれ竜王を倒せる。ゲームとはいえ努力が結果に結びつくのだ。七邊氏は「日本の80年代は、多くの人々が経済成長は続くと信じていた時代で、ドラクエ1で表現されている制作者の価値観を多くのプレーヤーが共有していた」と指摘する。そのうえで「プレーしてクリアすると、とても大きな達成感を得られるゲーム」と評価する。こうした点に80年代と現在の違いを感じるという。

スクエニは今後、ドラクエシリーズの他の6タイトルも順次、スマホに移植すると発表している。88年の発売当時、学校を休んでゲームソフトを買いに行く子供が続出、社会現象になるほど大ヒットした「ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…」のアプリ版などをリリースするたびに大きな話題を集めそうだ。スマホやタブレット(多機能携帯端末)向けソーシャルゲームとして新作「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」をリリースすることも発表している。

■中年を癒やす一服の清涼剤になれるか

スクエニがスマホ向けにドラクエを次々にリリースする背景には、ゲーム機の主役の座が専用機・端末からスマホに移ってきたことがある。さらに団塊ジュニア世代はゲーム業界にとっても巨大なマーケットだ。なじみの薄いソーシャルゲームには手を出さなかった彼らも、子供のころに熱中したドラクエなら気楽に楽しめるはず、との読みもある。団塊ジュニア攻略の先兵役としてドラクエはまさに適役といえる。

最大のポイントは、昔は家庭用ゲーム機で遊んだドラクエを、スマホでいかに快適に楽しめるかという点だろう。働き盛りの中年世代は日々、仕事や家事、子育てなどに慌ただしく追われている。ドラクエが、空いた時間にスマホを使って手軽に息抜きできる一服の清涼剤になれるとしたら、爆発的なヒットも期待できそうだ。何かと悩みの多い中年たちにとって、スマホでドラクエを遊ぶひとときは、子供のころを思い出し、自分の人生を見直す癒やしの時間にもなるかもしれない。

新清士(しん・きよし)
1970年生まれ。慶応義塾大学商学部および環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。立命館大学映像学部非常勤講師も務める。グリーが設置した外部有識者が議論する「利用環境の向上に関するアドバイザリーボード」にもメンバーとして参加している。著書に電子書籍「ゲーム産業の興亡」 (アゴラ出版局)がある 。
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