スマホに中年を誘う、初代「ドラクエ」起爆剤に
ジャーナリスト 新 清士

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2013/12/23 7:00
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バブル期の日本は消費者の可処分所得が急激に伸び続けた時期でもある。総務省統計局によると、2人以上の勤労者世帯の可処分所得は80年ごろは月約30万円だったのに対し、ドラクエ1が発売された86年には38万円、90年には44万円と右肩上がりの状況が続いた。働けば働くほど結果が出た時代といえる。

任天堂の大ヒットファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」 (C)1985 Nintendo

任天堂の大ヒットファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」 (C)1985 Nintendo

■マリオと全く違う、RPGに衝撃

このころ親にファミコンやゲームを買ってもらっていたのが、団塊ジュニア世代たちだ。71~74年の出生数が毎年200万人を超える団塊ジュニアたちはドラクエ1発売時には小中学生になっていた。まさに最もゲームを遊ぶ時期だ。

当時の日本は1台1万4800円もするファミコンと、1本5500円のドラクエ1などのゲームソフトのように高額なおもちゃを子供に買い与えられるほど、家計に余裕のある世帯が多い時期でもあった。

日本のゲーム産業は、米国のようにコンピューター技術の応用分野の一つとして登場したものではない。2000年代の韓国や中国のように行政が支援したわけでもなく、自然に形成されてきた産業だ。その一つの要因として、当時の好調な経済状況と子供たちの旺盛なニーズが国内市場拡大を引き起こした面が大きい。

スマホ用「ドラゴンクエスト」公式ページ

スマホ用「ドラゴンクエスト」公式ページ

当時、ドラクエ1は多くの子供たちに衝撃を与えた。家庭用ゲームは任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」に代表されるアクションゲームが中心だった。そこへ明確なストーリーが表現されているRPGという全く新しいタイプのゲームが登場したからだ。

平和だった世界に闇の竜王が現れ、宝物を奪う。伝説の勇者の血を引く主人公が竜王を討伐するため旅に出る――。ドラクエ1のそんなストーリーに多くの子供たちが熱中し、ファミコン版は150万本の大ヒットゲームになった。

■親指操作だけで簡単に遊べる

ドラクエ1はこれまでファミコン以外のゲーム機器に何度か移植されてきている。今回のスマホアプリ版は縦型の画面に対応し、親指操作だけで簡単に遊べるように工夫されている。モンスターとの戦闘などゲームを進めるテンポも早くなるように改良され、気軽に遊べるゲームという印象が強い。

かつてファミコンでドラクエ1を遊んだ人たちの多くは今、40歳前後だ。一般に、人は子供のころの印象深い経験を、20年以上経過すると楽しかった思い出として記憶の中で受け止めるようになるという。今回、子供時代を思い出しながら改めてドラクエ1を楽しんだ人も多いはずだ。

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