/

クイックVote解説 日本再興戦略、「評価」は49%

第136回 編集委員 大石格

政府がアベノミクスの3本の矢の最後の1本として放った「日本再興戦略」。日本経済新聞の経営者アンケートでは88%が評価しましたが、電子版読者の反応はそれよりもかなり厳しく、「評価する」は49%にとどまりました。

今回は多数だった「評価しない」と回答した読者のコメントを先にみていきましょう。

○日本の将来像をイメージできない(52歳、女性)

○総花的で、踏み込み不足(60歳、男性)

○各省庁が予算獲得のための施策を並べただけ(27歳、男性)

法人税減税が含まれていない(67歳、男性)

再興戦略にはたくさんの工夫が含まれていましたが、例えば特区制度は小泉内閣で華々しく脚光を浴びてから10年以上がたち、やや手あかが付いた感があります。農業分野の改革も十分でなく、「既得権益を壊すぞ」という意気込みを印象付ける事例に乏しかったのは否めません。

戦略には数値目標が掲げられていますが、読者のコメントには「東大合格と紙をはって遊びほうけているようなもの」(47歳、男性)という手厳しいものもありました。

戦略発表後に日経平均株価が下がりました。経営者アンケートはその前。発表後に実施した今回のアンケートはマーケットの受け止めがいまいちだったことに影響されたのでしょう。もっとも、ここまで両調査に差が出るとは予想していませんでした。

「評価する」という読者の反応はどうだったのでしょうか。

○民主党政権よりもはるかにまし(52歳、男性)

○これで改善しないならば日本はダメ(61歳、男性)

○実行あるのみ(77歳、男性)

戦略のここがよいというよりも、とにかく頑張るしかない、という気合重視のコメントがたくさんありました。

安倍政権も6月末で発足半年。民主党政権がひどかったのは周知のことなので、それとの比較はそろそろ卒業して、自公政権としてのよいところは褒め、悪いところは批判する時期に来ているのではないでしょうか。

次に財政出動の善しあしについてです。

失われた20年の間、ケインズ経済学の観点から政府は何度も大型経済対策を実施しました。しかし、借金を増やしたわりには効果はあまりありませんでした。もっとも、財政出動がなかったらもっとひどかったという見方もあるので、一概にダメだダメだというつもりはありません。

基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を2015年度に半減するという目標を達成するのは容易なことではありません。今回の骨太の方針の閣議決定を奇貨として目標そのものを見直すのが現実的という声は政府・与党内にありました。

しかし、安倍晋三首相は7月の参院選前に「ばらまき復活の道」などをたたかれるおそれのある政策変更はせず、15年度半減・20年度黒字化と再明記させました。

その一方で社会保障費の劇的な削減は見送り、小泉政権時代に大幅に減らした公共事業費は増やすかのような方針をにじませているので、どう考えても帳尻は合いません。

ケインズ流は今でも有効な手段なのか、国の借金を子や孫の代につけ回してよいのか。論点はいろいろあります。

約6割を占めた「景気刺激」派のコメントです。

○まずは景気の底上げが最優先(39歳、女性)

○金融政策と併用して実施する(37歳、男性)

○規制緩和が浸透するまでは財政出動してほしい(22歳、男性)

○景気回復後はすぐに終了できる支出にすれば一時的な赤字拡大にとどめられる(33歳、男性)

回答者の内訳
回答総数806
男性93%
女性7%
20代3%
30代8%
40代21%
50代25%
60代30%
70代11%
80代以上1%

「難しい問題」などと迷いながらの選択という回答が目立ちました。次の世代がどうなっても自分さえ逃げ切ればよいということではないようです。

他方、「歳出抑制」派はどうみているのでしょうか。

○金融に資本が流れ込むばかりで実体経済の回復につながらない(47歳、男性)

○この国は団塊の世代に食いつぶされる(52歳、男性)

インフレを起こせば借金はちゃらになると考えているのだろう(33歳、男性)

○ギリシャ化は目前(64歳、男性)

最後にアベノミクスの先行きに関してです。本欄で1カ月前に株価はまだ上がるのかとお尋ねしたのをご記憶でしょうか。8割近い回答が「そう思う」でした。その後の株価の乱高下を経て、見方はかなり変わったようです。

「心配だ」という読者のコメントにそれは表れています。

○言葉だけで実感がない(52歳、女性)

○実体経済がついていかない(65歳、男性)

○既得権益に譲りすぎ(59歳、男性)

○安倍首相の発言が曖昧(64歳、男性)

「心配ない」と答えた読者は株価下落はアベノミクスのせいではないとの分析です。

○米国に振り回されている。アベノミクスは続けてほしい(77歳、男性)

○マスコミが不安をあおっているだけ(36歳、男性)

設問時にも指摘しましたが、最近の株価の上下は米国の動きに左右されている面があるのはその通りでしょう。アベノミクスそのものの善しあしはもう少し長い目でみた方がよいと思います。

安倍内閣の支持率は69%でした。政権発足直後に2週続けて60%台でしたが、以降は70~80%台を享受してきました。政権半年を前にして久しぶりの60%台。勝負の参院選を前にやや勢いにかげりが出ているのか、今回の湿っぽい話題に引っ張られたのか。次回は70%を回復できるのかどうかが焦点です。

「支持する」という読者のコメントには「第1次安倍政権の失敗の経験をいかしてほしい」というのがありました。失敗を教訓としてロケットスタートを果たしたわけですが、支持率が下がり始めたときの手の打ち方も準備万端なのでしょうか。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン