カギ握るビッグデータ 「生活の質」高めるサービスに生かせ

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2013/1/23 7:00
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「スマートシティで求められるサービスは何か」――。こうした問題意識が、スマートシティに取り組む企業の間に広がっている。背景には、スマートシティが目指す方向が最先端の技術や機器の導入ではなく、「一人ひとりが日々、豊かに暮らせ、快活に働ける場所を作り出すことだ」という考え方が浸透してきたことがある。

サービスが重要であるという認識そのものは、決して新しいものではない。これまでも「モノからコト」「所有から利用へ」といったフレーズで、産業のサービスシフトの必要性が指摘されてきた。しかし強い製造業に支えられ、かつ「サービスはタダ」という文化が強い日本においては、サービスへのシフトがなかなか進まなかったのも事実だろう。

■少子高齢化で再認識されるサービスの重要性

スマートシティのサービス創造では、柔軟な発想が求められる。写真は、独カールスルーエ駅前で実運用されている自転車のシェアリングサービスの例

スマートシティのサービス創造では、柔軟な発想が求められる。写真は、独カールスルーエ駅前で実運用されている自転車のシェアリングサービスの例

それが、スマートシティといった都市や街、家庭や暮らしを考慮しなければならない市場が登場してきたことで、サービスの重要性が再認識されてきたのだ。そこには日本のスマートシティ市場の特性も関係している。社会インフラの多くが整備済みで、新興国のスマートシティ市場に見られるような巨大なインフラビジネスが成立しにくい点だ。結果、既存インフラの利用率を高めるためのキラーコンテンツの開発が求められる。

加えて、世界の総人口は国際連合の予測では2050年に91億人にまで増加するのに対し、日本の人口は同年には9500万人強にまで減少する。しかも、65歳以上の老年人口が35%強を占めるという少子高齢化の問題もある。

こうしたなかで、都市としての持続可能性を高めるには、高度成長期に繰り返された「箱物づくり」による雇用の確保ではなく、QoL(生活の質)を高めるサービスによって住民の数を増やし、そのコミュニティを支えるための雇用を増やす必要がある。

ただここで問題となるのは、スマートシティが求めるサービスは一社あるいは一業種だけでは構築・提供が難しいという点である。

■不可欠になる異業種間連携

例えば、電気自動車(EV)の普及について考えてみる。自動車メーカーがEVを作るだけでは、EVは決して普及しない。充電スタンドの整備が伴ってはじめて、利用者は安心してEVを使える。

充電スタンドでは、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなど他業界による整備が期待されるわけだが、彼らも事業化のメドや本業への相乗効果を見極めなければ投資はしない。両者が足並みをそろえるためには、何らかの協業の枠組みが不可欠だ。

EVだけをみてもこうした連携が必要とされるのだから、自動車と電車の連携や、地域のエネルギーマネジメントまで対象が広がれば、より広範囲な業界同士の協業が必要なことはあきらかだ。だが、業界団体はあっても異業種連携団体はない。産業界からは「業界に閉じた議論はやり尽くした感がある。他業界にどんな製品やサービスがあるのか、どこに連携のチャンスがあるのかなどを把握する必要がある」との声も上がっている。

■サービス創造に向けた三つの視点

こうしたニーズに応えようとする動きの一つに、2012年8月に立ち上がった「スマートシティ・サービス研究会」(主催日経BP社)がある。同年11月までに先進事例の研究や、参加企業が持つ製品や知見を組み合わせて新しいサービスを創造するためのグループディスカッションなどを繰り返してきた。2013年1月15日には、2012年の活動報告として、事務局がまとめた文書を発表している。

同発表によれば、スマートシティ・サービスの創造に向けては、以下の三つの視点が重要だとしている。

●住民目線であること:QoL(生活の質)に対する考え方が大きく変わっている。その提供形態はモノからコト、つまりサービスへと変化している。スマートシティ・サービスは常に住民の活動を支えるものでなければならない。

●オープンであること:あらゆる産業のサービス化を予見するならば、サービスの組み合わせを可能にするオープンさが不可欠である。オープンなサービス基盤が、新たなサービスを生み、その価値を高めなければならない。

●イノベーティブ(革新的)であること:日本は、世界中の都市に必ず訪れる「未来の変化」を最も早く経験する国であり、これをチャンスと捉えた戦略的な取り組みが求められる。世界が日本に追従するようなイノベーティブなモデルの創出を国内で急がなければならない。
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