2019年3月21日(木)

電気自動車で変わるブレーキ、エアコン

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2010/5/19付
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図1 三菱自動車のEV「i-MiEV」  エンジンをモータに置き換えた以外に、ブレーキやエアコンの部品も大幅に変えている。

図1 三菱自動車のEV「i-MiEV」  エンジンをモータに置き換えた以外に、ブレーキやエアコンの部品も大幅に変えている。

エンジンに代わり、モータを駆動源として搭載する電気自動車(EV)。しかし、変わるのはエンジンだけではない。実はブレーキやエアコンといった、安全性・快適性にかかわる装備も大きく変貌(へんぼう)を迫られる。

例えばブレーキ。脚力がそれほど強くないドライバーでもクルマを停止させるのに十分な制動力が得られるように、最近のクルマのほとんどはブレーキペダルを踏む力を機械で増幅・補助する機構を備えている。最も多く使われているのは、エンジンが空気を吸い込むときに発生する負圧(大気圧より低い圧力)を利用して、ブレーキペダルを踏む力を増す「真空倍力装置」と呼ばれるものだ。

しかしEVはエンジンを搭載しないので、そのままだと負圧も得られない。従来とは異なる方法で制動力を補助する必要がある。例えば三菱自動車は、同社のEV「i-MiEV」(図1)に、電動ポンプ式の真空倍力装置(図2)を搭載した。真空倍力装置を動作させるのに必要な負圧をモータで駆動するポンプによって作り、ドライバーがブレーキペダルを踏む力を補助するのである。

図2 i-MiEVが採用する電動ポンプ式の真空倍力装置  ドライバーがブレーキペダルを踏み込むと、新開発の真空倍力装置が作り出す負圧が踏み込み力を補助することで、制動力を確保する。

図2 i-MiEVが採用する電動ポンプ式の真空倍力装置  ドライバーがブレーキペダルを踏み込むと、新開発の真空倍力装置が作り出す負圧が踏み込み力を補助することで、制動力を確保する。

採用広がる「回生協調ブレーキ」

一方、EVではないが、ハイブリッド車のトヨタ自動車「プリウス」(図3)には、より進化した仕組みが採用されている。「回生協調ブレーキ」と呼ばれる仕組みである。以下でこれについて詳しく説明しよう。

図3 トヨタ自動車のHEV「プリウス」  モータで駆動する油圧ポンプで、各輪に制動力を発生させる。また、駆動用モータが必要に応じてブレーキとして機能する「回生協調ブレーキ」を採用し、電池を充電する。

図3 トヨタ自動車のHEV「プリウス」  モータで駆動する油圧ポンプで、各輪に制動力を発生させる。また、駆動用モータが必要に応じてブレーキとして機能する「回生協調ブレーキ」を採用し、電池を充電する。

通常のガソリン車の場合、ドライバーがブレーキペダルを踏む力を前述のような真空倍力装置で増幅した後、さらに油圧に変換して各輪のところに送っている。この油圧でブレーキディスクを強く挟んで摩擦を起こし、制動力を発生させる場合が多い。

これに対しプリウスのブレーキでは、ブレーキペダルが簡単に言えばただのスイッチになっている。ドライバーがブレーキペダルを踏んで「オン」にすると、モータで駆動する高圧の油圧ポンプにより発生させた油圧を電磁石を使った弁(電磁弁)で各輪に適切に配分し、走行状態に応じた制動力を生み出す仕組みだ。実際には「オン」と「オフ」だけではなく、ドライバーがどの程度の制動力を発生させたいかをブレーキペダルに付いたセンサで把握する。具体的には、ブレーキペダルを踏み込む力や踏み込む速度をセンサで測定して割り出し、各輪にどの程度の制動力を発生させるかはコンピュータで決定する。

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