2019年2月23日(土)

直島に安藤忠雄氏のミュージアムがオープン

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2013/3/18付
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「ANDO MUSEUM」の全景。築100年超の古民家を生かし、周りの集落に溶け込んでいる

「ANDO MUSEUM」の全景。築100年超の古民家を生かし、周りの集落に溶け込んでいる

3月9日、竣工式に続いて行われたテープカット。左から2番目が安藤忠雄氏、3番目が福武財団の福武總一郎理事長、4番目が香川県の浜田恵造知事(以下の写真:日経アーキテクチュア)

3月9日、竣工式に続いて行われたテープカット。左から2番目が安藤忠雄氏、3番目が福武財団の福武總一郎理事長、4番目が香川県の浜田恵造知事(以下の写真:日経アーキテクチュア)

アートによる街づくりで知られる香川県の直島に3月12日、建築家の安藤忠雄氏(安藤忠雄建築研究所)の名前を冠した「ANDO MUSEUM」がオープンした。安藤氏が設計した島内の建築としては8件目となる。

安藤氏によると、「『自身の建築のミュージアム』というプログラムに対し、考えたのは空間体験そのものを主題とする施設」。その地に建っていた築100年超の木造2階建て古民家の外観を残しつつ、その古民家の内部にコンクリート構造物を入れ子状に組み込んだ。「意図したのは、過去と現代、木とコンクリート、光と闇といった対立する要素が刺激的にぶつかり合いつつ重層する、小さくとも奥行きに富んだ空間だ」(安藤氏)

外観。手前に見える透明な円錐状の突起が、地下室に自然光を導く(写真:日経アーキテクチュア)

外観。手前に見える透明な円錐状の突起が、地下室に自然光を導く(写真:日経アーキテクチュア)

建築面積114.43m2の小さい建築の中には、古民家の外観からは想像できない空間が広がる。館内に照明はない。木造屋根のトップライトや壁面の窓から採り入れた自然光が、コンクリートの壁面に反射しながら光と影の空間をつくっている。展示されているのは、安藤氏がこれまで設計してきた建築の写真や模型、スケッチ、直島の歴史の写真などだ。

■「ANDO MUSEUM」は「集大成」

「ベネッセアートサイト直島」で街づくりをけん引してきた福武財団の福武總一郎理事長は3月9日のプレス内覧会の挨拶で、「集大成」という言葉を使って「ANDO MUSEUM」を位置付けた。「一連のプロジェクトで一番重要なコンセプトは、『あるものを生かして、ないものをつくる』というメッセージを世界に伝えること。現代社会の『あるものを壊す』という文明史観に対して、強烈なレジスタンス(抵抗)があった。それが『家プロジェクト』につながる。その集大成としての美術館だと思っている」と語った。

コンクリートの空間は、木造の古民家に包まれている

コンクリートの空間は、木造の古民家に包まれている

コンクリートの空間が広がる内観。照明はなく、自然光とその影が奥行き感を与え、狭い空間に広がりを感じさせる。スリット越しに人影が見える(以下の写真:平田宏)

コンクリートの空間が広がる内観。照明はなく、自然光とその影が奥行き感を与え、狭い空間に広がりを感じさせる。スリット越しに人影が見える(以下の写真:平田宏)

「家プロジェクト」は、直島の本村地区に残る古民家を改修し保存しながら現代アートを展示し、アートと建築が融合した表現を探る試み。古民家を活用することで、ここにしかないアート空間を生み出している。安藤氏は「家プロジェクト」の第2弾として、米国のアーティスト、ジェームズ・タレル氏の作品を収める「南寺」(1999年新築)を設計している。「ANDO MUSEUM」は、「南寺」から100mも離れていない場所にある。

「地中美術館」(2004年新築)で建物の大半を地中に埋め込んで直島の風土と同化させた安藤氏は、「ANDO MUSEUM」では古民家にコンクリートの空間を閉じ込めて直島の集落と同化させた。直島の暮らしに目を向けさせた「家プロジェクト」の流れを踏まえた「同化」だ。

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