筋肉を作る「スポーツ遺伝子」、トレーニングに生かす
遺伝子ビジネス最前線(上)

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2011/10/23付
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 「究極の個人情報」といわれる遺伝子。両親から受け継いだ体質が書き込まれ、個人の健康状態や病気の予測にも使えることがわかってきた。これをスポーツや医療分野で活用しようという動きが広がっている。スポーツ選手の適性に合わせたトレーニングによって成果を高めたり、医療の現場では一人ひとりに最適な治療法を提供する「オーダーメード医療」の拡大が見込まれている。IT(情報技術)を駆使した高度な分析装置の開発競争も激化。個人情報の保護や倫理面でのルールの確立は欠かせないが、低コストで遺伝子情報を知り、それを上手に使いこなせば、個人の能力をフルに生かしたり、将来病気になるリスクを減らして生活の質を高めることができるかもしれない。

■「スポーツ遺伝子」に研究者が注目

 「我が子をプロスポーツ選手に」と期待をかける親たちの教育熱が高まり、子ども向けスポーツビジネスが成長を続けている。先天的にどの競技種目に向いているかや、どこまで成績を伸ばせるかといったことが分かったら――。多額の費用を投資する親たちにとって、子供の運動能力や適性はとても気になる情報だ。

日本体育大学の黄主任
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日本体育大学の黄主任

 「人の顔が一人ひとり違うように、(運動能力に影響する)『速筋』を作れるかどうかは両親からどのような遺伝子をもらうかで決まる」。こう断言するのは、日本体育大学の総合スポーツ科学研究推進センターの黄仁官主任だ。黄主任自身はかつて韓国を代表する走り幅跳びの選手で、現在は日本体育大学で全国トップクラスの駅伝部などで監督と協力し、トレーニング方法を指導している。

 黄主任をはじめ、スポーツ科学分野の研究者が注目しているのが「ACTN3」とよばれる遺伝子だ。黄主任は陸上選手としての自身の経験や駅伝部の選手と接するなかで、「同じトレーニングをしても選手によって結果が違うのはなぜか」という疑問を抱き、遺伝子に着目した。

 遺伝子の塩基配列を解析すれば、髪や目の色、病気のかかりやすさなどの個人の「体質」を読み取れることができる。父と母からから受け継ぐ遺伝子情報の核となる染色体は、2本のひもがらせん状につながる構造で塩基とよばれる物質で橋渡しされている。塩基物質は、「A(アデニン)」「G(グアニン)」など4種類。その塩基物質の並び方が「遺伝子情報」であり、個人の体質を決める要素となる。

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