米プリツカー賞に建築家の伊東豊雄さん
【ニューヨーク=共同】建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に毎年贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に日本の伊東豊雄氏(71)が選ばれた。同賞を主宰するハイアット財団が17日発表した。

日本人としては丹下健三氏、安藤忠雄氏らに続き6人目。ハイアット財団は「斬新な発想と素晴らしい建物づくりの組み合わせ」をたたえた。
同賞審査員で米連邦最高裁判事のスティーブン・ブライヤー氏は「公共空間と私的空間の両方の質を向上させた」と述べた。やはり審査員のオーストラリアの建築家グレン・マーカット氏は「彼の作品は一つのところにとどまらず、常に予想外だ。日本内外の若い建築家の考え方に影響を与えている」と評した。
伊東さんは1941年、京城(現ソウル)生まれ。日本国内の代表作に文化施設「せんだいメディアテーク」(仙台市)、「座・高円寺」(東京都杉並区)、「まつもと市民芸術館」(長野県松本市)などがある。
2002年にベネチアビエンナーレ国際建築展の金獅子賞、06年に王立英国建築家協会のロイヤルゴールドメダルを受賞した。
東日本大震災をきっかけに、自然災害の被災者が交流できる憩いの場「みんなの家」プロジェクトを他の建築家と進め、岩手、宮城両県のほか豪雨の被害があった熊本県阿蘇市に完成させた。
岩手県陸前高田市の「みんなの家」については、12年にベネチア・ビエンナーレ国際建築展の国別参加部門で金獅子賞を受賞した。
伊東豊雄氏の話 「建築のスタイルを革新し続けている」と審査員に評価してもらえたことが一番うれしい。東日本大震災後、近代以降の建築のあり方を模索しているが、そういう時期の受賞は大きな励みになる。