日本式は高い 欧米の「省・蓄電池型」再生エネ導入に注目

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2013/6/26 7:00
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 ドイツや米国カリフォルニア州では、再生可能エネルギーを30%以上の高い比率で導入する目標を掲げている。風力発電や太陽光発電の大量導入には、出力変動を安定化するため、当初相当量の蓄電池が不可避と言われてきたが、実証研究の結果、電力市場と連動した需要側設備の自動制御によって蓄電池の必要量がかなり下げられることが分かってきた。(日経BPクリーンテック研究所)

欧米では、温暖化対策ばかりでなく、エネルギーセキュリティー、地域住民の雇用確保などの視点から、再生可能エネルギーを高い比率で活用しようとの機運が高まっている。すでに電力に占める再生可能エネルギーの比率が100%に近くまで増やした都市も出てきた。

日経BPクリーンテック研究所が2013年6月28日に発行する『次世代社会創造プロジェクト総覧』によると、スウエーデンのベクショー市(人口約8万人)やデンマークのロラン島(人口6万5000人)などは、電力消費のほぼ100%を再生可能エネルギーで賄うことを達成したと宣言している。ベクショーは林業の残材を利用したバイオマス発電、ロラン島は洋上も含めた風力発電だ。

ベクショー市では市の中心にあるコージェネレーション(熱電併給)施設から住民に電気と熱を供給している。燃料の98%は林業から出る未利用残材で作った木質チップ

ベクショー市では市の中心にあるコージェネレーション(熱電併給)施設から住民に電気と熱を供給している。燃料の98%は林業から出る未利用残材で作った木質チップ

ロラン島には洋上も合わせて500基以上の風車が稼働し、年間を通じて島内の電力需要の3倍を発電している

ロラン島には洋上も合わせて500基以上の風車が稼働し、年間を通じて島内の電力需要の3倍を発電している


このうちバイオマス発電は、従来の火力発電と同様、電力需要に合わせて電力を供給できるため、高い比率で利用しても電力品質に何ら問題はない。だが、天気による出力変動の大きい太陽光や風力を主体に、再生可能エネルギー比率(再エネ比率)で100%を達成することは容易でない。デンマークのロラン島は、年間を通じてみると島の需要以上の電力を風力で発電しているが、海底ケーブルによって欧州全体の電力系統網につながっており、風の多い時は電力を輸出し、少ない時は島外から輸入している。

■米国で需要高まるエネルギーストレージ

電力の品質を安定的に保つには、電力の需要と供給を瞬時に一致させる必要がある。一般的に、系統電力網に流れる電力源に占める風力と太陽光発電の割合が20~30%にまで高まってくると、電力の品質に影響が出てくると言われる。ロラン島の電力需要に対する風力発電量の割合が瞬間的に100%を超えても電力品質を保てるのは、欧州全体として見れば再エネ比率が20%に満たない大きな電力系統に支えられているからとも言える。

だが、今後、欧米では風力と太陽光発電の導入がさらに進む。EU(欧州連合)は、2020年に再エネ比率再を20%にすることを各国に義務付けている。これは一次エネルギーを分母にした比率だ。自動車燃料の脱・化石燃料はかなり先になることから、電力部門の再エネ比率を50%前後まで高めることで、一次エネルギー全体で20%を達成することが各国政府の基本的な戦略になっている。

また米国では、複数の州政府が「RPS(Renewable Portfolio Standard)制度」を導入し、一定量の再生可能エネルギー由来の電力供給を電力会社に義務付けている。例えば、カリフォルニア州は、「2020年に33%」の再生可能エネルギー由来電力の供給を各電力会社に求めている。

EUと米カリフォルニア州では、電力供給に占める再生可能エネルギーの比率が30%以上になることを想定しており、その多くを開発余地の大きい風力と太陽光発電に期待している。出力変動の大きい風力と太陽光を大量に導入しながら需給をバランスさせるには、風力と太陽光の出力変動を補うバックアップ用の電源と、風力が需要以上に発電した場合に電力を貯めておく何らかの「エネルギーストレージ(蓄エネルギー設備)」が必要になる。

こうしたバックアップ用電源は、「アンシラリー電源」と呼ばれ、通常、短期間で出力を変動させやすいガス火力や水力が使われる。エネルギーストレージには、揚水や大型蓄電池が有望とされてきた。

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