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KDDI田中社長、WiMAX2計画の見直しを示唆

「TD-LTE、中国の動向を視野に検討中」

KDDIの田中孝司社長は17日、系列のUQコミュニケーションズが2013年に商用サービス開始を予定している高速通信サービス「WiMAX2」について、「中国でのTD-LTEの取り組みなどを踏まえ、いろいろ検討している」と語り、採用方式の変更も視野に入れた見直しを行っていることを明らかにした。WiMAX方式は商用化で先行したが、類似した技術方式のTD-LTEの巻き返しを受けており、KDDIグループは次世代方式の導入について再検討を迫られた格好だ。

スマートフォンなどの新商品を発表するKDDIの田中社長(右から2番目)=17日、東京都港区

同日開催された新製品発表会の質疑応答で明らかにした。田中社長は「(UQが)総務省から(新サービスに必要な)電波の追加割り当てを受けられたら、WiMAX2みたいなものをスタートしたい」と語り、WiMAX2だけでなく、同方式に類似した別方式も検討していることを示唆した。

その上で、WiMAX2の対抗方式としてソフトバンクモバイルやインドの事業者などで実用化されているTD-LTE方式について、「中国で(実用化に向けた取り組みが)進んでおり、(日本でUQが使用する周波数と同じ)2.5ギガヘルツ(GHz)帯の電波も中国で今後割り当てられると思っている。そうしたことも含め、(KDDIグループとして)どうするかを検討している」と語り、TD-LTE方式へのくら替えも検討中であることを認めた。

WiMAX、商用化で先行もTD-LTEが巻き返し

KDDI系列のUQは、WiMAX方式で毎秒最大40メガビットのデータ通信サービスを09年2月に開始しており、12年9月末時点の契約者数は345万件。同サービスの後継として、13年1~6月をめどに毎秒最大165メガビットのWiMAX2方式の商用サービスを始める計画を打ち出している。

しかし、海外ではWiMAXの代わりにTD-LTE方式という別の通信規格を推進する動きが主流となっている。TD-LTEとWiMAXは、いずれも下りと上りの通信を時間帯で切り替える「TDD」(時分割複信)と呼ばれる仕組みを採用しており、部分的に共通の技術を使っているが互換性はない。

 日本や米国、台湾などでの商用化はWiMAXが先行したものの、その後はTD-LTE方式が巻き返しを図っており、WiMAX陣営は先細りの状況となっている。UQと同様にWiMAXの商用サービスを展開している米通信事業者のクリアワイヤーは、今後はWiMAXではなくTD-LTE方式を推進していく方針を打ち出している。米インテルなどWiMAX対応の通信機器を推進していた企業も、現在ではWiMAXの事業展開を縮小している。

一方、TD-LTEは後発ながら徐々に存在感を増している。日本では2012年2月にソフトバンクモバイルが「SoftBank 4G」としてTD-LTEを商用化したほか、インドやサウジアラビアでも商用サービスを開始済み。中国最大手の中国移動通信も2014年をめどにTD-LTEの商用サービスを始める計画だ。

TD-LTE版iPhoneの可能性も焦点

KDDIが発表したスマートフォン冬モデルは、夏モデルまでと異なり10機種すべてWiMAXに非対応となった(17日午後、東京都港区)

米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone」の動向も注目されている。既にTD-LTEの商用サービスを展開しているソフトバンクモバイルは、TD-LTE方式に対応したiPhoneの開発をアップルに働き掛けている。9月に発売された最新機種の「iPhone5」ではTD-LTE対応モデルは発売されなかったものの、今後クリアワイヤーや中国移動通信などTD-LTE対応事業者が増加することで、TD-LTE版iPhoneが製品化される可能性も高まる。一方、WiMAX2に対応したiPhoneが開発される公算は小さい。

iPhone以外のスマホやデータ通信端末なども、WiMAXやWiMAX2に対応する機種は今後減少が見込まれ、通信事業者にとっては端末調達が今後の課題となってくる。

こうしたことから、KDDIグループがWiMAXの上位規格であるWiMAX2を予定通り採用するのか、TD-LTEに切り替えるのかが注目されている。総務省は13年初頭にも、TDDベースの通信方式で利用できる2.5GHz帯の電波の追加割り当てを行う予定で、KDDIグループの方針はそれまでに明確になる見通しだ。

(電子報道部 金子寛人)

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