2019年9月23日(月)

スマホが引っ張る電子書籍 SNSにアマ作家市場も
ジャーナリスト 新 清士

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2013/7/18 7:00
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5月時点で700万人の登録会員を持つピクシブは、作品の正確な登録件数を明らかにしていない。ニコニコ静画に比べて有名な漫画やアニメの二次創作作品が多いことが特徴で、人気の高い「進撃の巨人」(講談社)の場合はイラストと漫画が合計5万8000作品、小説が5600作品それぞれ登録されている。

著作権所有者の異議申し立てがあると、そのコンテンツを削除するという形で管理している。ただ、そうしたコンテンツの多くは原作の人気を支えている面もあるため、黙認されていることが多いようだ。

ブックライブの電子書籍リーダー「リディオ」

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一方でオリジナル作品も多い。人気作品の杜若わか氏のシリーズ漫画「あっくんとカノジョ4」の閲覧数は17日現在で11万を超えている。

アマチュア作家の作品はパロディーや恋愛をテーマにしたものが多い。現在はアマチュア作家が自分の作品に課金する仕組みはないものの、こうした漫画や小説が評価されてプロになるケースも出てくるだろう。実際、「あっくんとカノジョ」は漫画誌「月刊コミックジーン」(メディアファクトリー)で6月から連載が始まった。

既存の出版社を介してデビューする方法だけではなく、サービス会社がスマホやタブレットに積極的に対応し、簡単にセルフ出版ができる環境が整ってくると、今後、アマチュア作家がプロになるための状況は劇的に変わるかもしれない。

■アマゾン、二次創作作品を販売

電子書籍で先行する米国では、市場の先行きに懐疑的な声も出ている。「ネット・バカ」(青土社)などの著作を通じ、電子デバイスやグーグルのような検索エンジン利用に対し批判的な立場をとる著述家のニコラス・G・カー氏は1月、「電子書籍でベストセラーになっている書籍はスリラーやロマンスなどライトフィクションばかりで、(日本の文庫本に近い)ペーパーバックより軽量な、もっと扱いやすい新種のペーパーバックという位置付け」と米ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿記事で指摘した。電子書籍の作品はレベルが低いと示唆したものだ。

こうした傾向は米国のセルフ出版のヒットタイトルにも明瞭に出ている。日本のニコニコ静画やピクシブも同様だ。日本でも、電子書籍で普及するのは軽い娯楽ものだけに終わってしまう可能性はあり得る。

02~07年ごろまで日本ではケータイ小説がブームになった。「素人が書いた出来の悪い文章」と言われながらも人気を博した作品として、Yoshi氏の「ディープラブ」シリーズがある。この作品は紙の書籍としても出版され、累計270万部を販売した。それだけに、軽い作品だから楽しめないとは必ずしも言い切れないだろう。

ただ今後、電子書籍でも発売可能なセルフ出版が普及した場合、紙の書籍市場にどんな影響を与えるのか、現時点では予想が難しい。

一方、注目すべき動きも出てきた。米国では、第三者が原作をもとに創作する「ファンフィクション」と呼ばれる二次創作を手がけるアマチュア作家が多い。定番は「スター・ウォーズ」や「ハリー・ポッター」で、インターネット上でも多数公開されている。

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