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東北大・建築研究棟の被災で見えた新たなリスク

仙台市中央部の丘陵地に広がる東北大学の青葉山キャンパスは、震災で複数棟が大破する大きな被害を受けた。応急危険度判定で6棟に赤紙(危険)が貼られた。同キャンパスのある青葉区では、本震の最大震度は6弱だった。

被災した1棟は、建築系研究室の入る「人間・環境系研究棟」だ。鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造9階建てで1969年に竣工、2000年から01年に鉄骨ブレースなどによる耐震補強を施していた。

11年3月11日の本震によって、3階の妻壁の側柱が4カ所すべてで座屈。側柱の鉄筋と鉄骨が圧壊し、割れたコンクリートから露出した。また、天井の一部が落下した。

被害レベルは、応急危険度判定をした同大学大学院教授(工学研究都市・建築学専攻)の前田匡樹氏によると、耐力に著しい低下が認められる「大破」(5段階で最悪に次ぐ「IV」)だ。

1966年に竣工し96年に耐震改修した「電子情報システム・応物系1号館」は耐震壁をつなぐ境界梁がせん断破壊。68年竣工で97年に耐震改修した「マテリアル・開発系研究・実験棟」では柱や壁にひびが入った。

入念な耐震補強を実施済みだったが

前田教授は、同キャンパスの被災について「耐震改修したRC(鉄筋コンクリート)・SRC建物が地震で大きな構造被害を受けた初の例」と唇をかむ。

側柱が座屈した人間・環境系研究棟は、78年の宮城県沖地震で壁や柱にひびが入るなどの被災をしたが、耐震改修を施していた。耐震壁となる妻壁のコンクリートを打ち換え、開口部には鉄骨ブレースを取り付けた。一部の梁は鉄板で補強している。

対策前に構造耐震指標(Is値)が0.6未満だった部分は、すべて0.6以上に向上した。03年7月26日の宮城県北部地震や05年8月16日の宮城県南部地震では、大きな被害はなかった(いずれの地震も青葉区の最大震度は4)。

なぜ今回の地震で、新たな弱点を露呈することになったのか。顕在化したのは、「地盤周期と建物との共振」「過去の被災による損傷の累積」という新たな被災リスクである[注]

[注]具体的な内容は、日経アーキテクチュア2011年5月10日号の特集「『耐震都市』仙台からの教訓」に掲載。

(日経アーキテクチュア 三宅常之)

[日経アーキテクチュア2011年5月10日号の記事を基に再構成]

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