2018年1月22日(月)

グーグルのモトローラ買収に3つのWhy? 訴訟合戦、オープン性、端末開発…
ジャーナリスト 石川 温

モバイルの達人
コラム(テクノロジー)
(1/4ページ)
2011/8/16 20:30
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 インターネット検索最大手の米グーグルが通信機器大手の米モトローラ・モビリティを125億ドル(約9600億円)で買収することを15日発表した。グーグルとしては過去最大規模の買収案件だ。モトローラの豊富な知的財産権を手にしてアップルなどからの訴訟合戦をどう勝ち抜こうとしているのか。これまで端末メーカーにスマートフォン向けプラットフォーム「Android(アンドロイド)」を提供してきたが、そのオープン性を今後も貫いていくのだろうか。また買収を通じて独自の端末開発や垂直統合型のビジネスモデルの構築に動くのだろうか――。

 今回の買収計画を巡る「3つのwhy?」を読み解くことで、新たなステップに踏み出したグーグルの次の戦略を占う。

■豊富な特許が訴訟合戦を戦う武器に

11年7月に来日した米グーグルのエリック・シュミット会長

11年7月に来日した米グーグルのエリック・シュミット会長

 今回のグーグルの買収の狙いは極めて明快だ。同社自身は、米アップルのようにプラットフォームとともに自社で端末を開発・販売することを狙っている訳ではない。米マイクロソフトのように世界最大の端末メーカーであるノキア(フィンランド)と提携し、世界に向けた販路を得たかったわけでもない。

 グーグルはモトローラ買収を通じて、ライバルたちと繰り広げてきた特許訴訟合戦を有利に進める狙いが根底にある。

 アンドロイドが急成長し、スマートフォン市場でシェアを拡大するに従って、アンドロイド陣営の企業がライバルから仕掛けられる特許係争が増えていった。韓国サムスン電子や台湾HTCなどはアップルから目の敵にされている。最近でもアップルが欧州市場でサムスン電子のタブレット端末「Galaxy tab」に販売差し止めを訴訟を起こし、これに勝訴(仮決定)したばかりだ。

 ライバルとの訴訟合戦で勝つためには、豊富な特許が絶対的な武器となる。

 まずグーグルが目を付けたのが今春、経営破綻したカナダの通信機器大手ノーテル・ネットワークス。同社は6000件の特許を保有していたが、グーグルと、マイクロソフトやアップルらの企業連合との獲得競争となり、最終的に企業連合が45億ドルで競り落とした。グーグルの最高経営責任者(CEO)であるラリー・ペイジ氏は公式ブログで「反競争的なアンドロイドへの攻撃」と批判した。

 7月に来日したエリック・シュミット会長は訴訟合戦について次のように述べている。

 「法的な問題が起きているのは、我々が市場で勝ち続けているからだろう。ここ最近、アンドロイドは成功を収めているが、他社はイノベーションではなく、訴訟で対抗しようとしている。いずれ、これらの問題は交渉と特許によって解決できるのではないか」――。

 そのためにグーグルが喉から手が出るほどほしかったのがモトローラ・モビリティーだった。携帯電話開発の老舗企業で、無線通信技術に関して1万7000件もの特許を持つ。「特許を持たないことには、訴訟も、交渉も、有利に進められない。ライバルと同じ土俵に上がるためには豊富な特許資産が不可欠だった」(グーグル関係者)。これによって、アップルやマイクロソフトとの戦いを有利に進められるのは間違いない。

■買収発表前にグーグルがメーカー5社を招集

 ただ、ここで気になるのが、グーグルがこれまで貫いてきたアンドロイドの「オープン性」だ。グーグルが特定の端末メーカーを傘下に収め、優先的に最新OSを供給したり、共同で関連技術を開発したら、プラットフォーム会社としての中立性が失われる。オープンな基本ソフト(OS)を基に端末を競いあって開発するというアンドロイドの「エコシステム(生態系)」に参加するメーカーが、モトローラに比べて不利になりはしないのか。

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