2019年7月20日(土)

時代は「全員メイカーズ」、欲しい機器は自分で作る

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2014/6/23 7:00
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日経エレクトロニクス

 テレビやパソコンといった大量生産品ではなく、使い手の個別のニーズに寄り添ったニッチな製品、つまり「ロングテール」の領域がメーカーの新たな活躍の舞台になりそうだ。ロングテールの用途は、これまでは従来型のメーカーが手掛けるには事業性が見込めなかったが、用途は星の数ほどあり、売上げを総計すれば予想外に大きな市場となるのが魅力。いわゆる「メイカーズ」(個人で営む製造業)になるための障壁を下げれば、ロングテール領域に踏み出せる。一般の利用者が、自分が欲しい機器やシステムを簡単に開発できる環境の整備がいよいよ始まる。(日経エレクトロニクス2014年6月23日号より)

あるWebサービスの開発者が、こんなエピソードを紹介してくれた。「ウチのオフィス、トイレが使用中になっていることが多いんです。だからトイレが空いているかどうかをパソコンから確認できるようにしてみました」。低価格で使いやすいコンピューター基板を使い、トイレのドアの開閉状況が分かるセンサー端末を製作した。

エレクトロニクス技術には、星の数ほどの応用先がある。自宅やオフィス、公共空間などのあらゆる場に、人を快適にしたり、楽しくしたりできる可能性が広がっている。「自分の環境で、自分が望むように動いてくれる」。そうした使い手の個別事情を盛り込んだ用途、いわゆる「ロングテール」の領域がエレクトロニクス企業の新たな活躍の舞台となる(図1)。

図1 身の回りの独自用途を利用者が創出するようなロングテール領域に、エレクトロニクス技術の潜在的な巨大市場が広がっている。これまで、機器メーカーが作るには売り上げ規模が小さく、機器メーカー以外が作るには技術的な障壁が高かった

図1 身の回りの独自用途を利用者が創出するようなロングテール領域に、エレクトロニクス技術の潜在的な巨大市場が広がっている。これまで、機器メーカーが作るには売り上げ規模が小さく、機器メーカー以外が作るには技術的な障壁が高かった

■「メイカーズ」ブームが拡大

ロングテール領域は、エレクトロニクス企業にとって未踏の地だった。使い手の個別事情は分からないし、たとえ分かったとしてもそのほとんどは事業性が見込めない。結果としてエレクトロニクス企業は、テレビやパソコンといった民生機器のように多数の販売が見込める製品や、業務用機器のように単価が高い製品を手掛けてきた。

個別事情に合わせたパーソナルな機器を、一般的な利用者が自ら作ることも難しかった。「高度な知識や技術が必要になる」「(大量に作らないため)価格が高くなる」といった障壁があった。

しかし今、夢やアイデアを持った個人が、自分が作りたいと思った機器を作る動きが始まっている。2005年に米O'Reilly Mediaが創刊した雑誌「Make」(後に米Maker Mediaとして分社化)やクリス・アンダーソン氏の著書「Makers」にちなんで「メイカーズ」などと呼ばれる人々が登場している。

メイカーズの祭典である「Maker Faire」は年々参加者を増やしており、2014年5月に開催された「Maker Faire Bay Area 2014」には過去最高となる900以上の出展者と、12万人以上の来場者が集まったという(図2)。

図2  2014年5月に開催された「Maker Faire Bay Area 2014」は、出展者数、来場者数ともに過去最高だった(左と中央の写真:日経BPイノベーションICT研究所、右の写真:品モノラボ)

図2 2014年5月に開催された「Maker Faire Bay Area 2014」は、出展者数、来場者数ともに過去最高だった(左と中央の写真:日経BPイノベーションICT研究所、右の写真:品モノラボ)

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