羽田空港に「海の神殿」、滑走路下の美しい世界

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2013/1/18 7:00
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 写真の様々な表現手法を生み出し、時代を代表する人物を撮り続けてきた写真家・篠山紀信氏。この希代の写真家が、巨大建設現場という未知の対象に向き合った。撮影開始前は、「いざ建設現場に行くと、どう撮っていいか分からないと感じるかもしれない」と話していた篠山氏だが、すぐにその面白さに目覚めた。同氏は現代の土木・建築技術の粋を結集した巨大建設現場に何を感じ、どのように写真に収めたのか。連載の初回で紹介するのは、篠山氏が最初に挑んだ「羽田空港D滑走路」である。

いま羽田空港を飛び立つ飛行機のおよそ半分がこのD滑走路を使用する。だがその乗客の何人がこの下に、ステンレスの列柱が海の神殿のように整然と並んでいることを知っているだろうか。

僕が初めてボートでこの列柱に忍び込んだときには、思わず頭がくらくらするほど興奮した。

神聖を帯びた銀色の列柱が黒い水から無数に直立し、天井のチタンと海面に反射し、怖いほど美しい異界をつくっていた。

人は誰でも、人智を超えた自然の風景に出会ったとき、そこの天然の美を感じ、驚嘆し感動する。だがここにあるのは人間がつくり上げた人工の異空間、僕にとっては現代のハイテクノロジーが生んだ、現世の神が宿る神殿に思える。

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