2019年7月21日(日)

元祖スマホ、ブラックベリーの「技術革新の蹉跌」に学ぶ

(1/4ページ)
2013/3/5付
保存
共有
印刷
その他

かつて北米のビジネス向けモバイル端末として一世を風靡した「BlackBerry」が、米アップルのiPhoneをはじめとするスマートフォン(スマホ)が台頭するなか、急速に輝きを失っている。2月末にスペイン・バルセロナで開催された世界最大規模のモバイル展示会「Mobile World Congress」では「第3のOS」を目指す各社の動きのなかで、姿が霞んだままに終わった。そこには経営判断の遅れから、進化するライバルの動きに対応できなかったブラックベリー(カナダ)の「失われた5年間」が横たわる。同社の失策から学ぶべきことは多い。

中島 聡(なかじま・さとし)
1960年北海道生まれ。アスキー・ラボラトリーズの一員として「CANDY」をはじめとする数多くのプログラムの開発や移植に携わり、大学院卒業後にNTTの研究所に就職。86年のマイクロソフト日本法人設立を機会に同社へ転職し、89年に米国本社へ移籍。Windows95、同98及びInternet Explorer3.0、同4.0の開発に携わる。2000年に退社し、ソフトウエア会社のUIEvolutionを設立した。現在はメルマガ「週刊 Life is beautiful」(出版はまぐまぐ)を執筆中。

中島 聡(なかじま・さとし)
1960年北海道生まれ。アスキー・ラボラトリーズの一員として「CANDY」をはじめとする数多くのプログラムの開発や移植に携わり、大学院卒業後にNTTの研究所に就職。86年のマイクロソフト日本法人設立を機会に同社へ転職し、89年に米国本社へ移籍。Windows95、同98及びInternet Explorer3.0、同4.0の開発に携わる。2000年に退社し、ソフトウエア会社のUIEvolutionを設立した。現在はメルマガ「週刊 Life is beautiful」(出版はまぐまぐ)を執筆中。

■iPhoneに比べ「1世代前のデバイス」

1月にリサーチ・イン・モーション(RIM)から社名を変更したばかりのブラックベリー。その発表と同時に「BlackBerry10」など新製品の発売や新OSなども公開したが、私を含む多くの業界関係者は、同社の復権は難しいと考えている。

BlackBerryは、2000年代の半ばには「北米で働くビジネスパーソンにとって必須のデバイス」としての地位にあった。しかし今ではBlackBerryを使っていると「なんでまだ使っているの?」と揶揄(やゆ)されるほどの端末(デバイス)になってしまっている。

BlackBerryは、一般的にはiPhoneや米グーグルのOS「Android」搭載機と同じ「スマートフォン」の一つとして扱われることが多い。しかし、実際にはそれらスマホに比べると「1世代前のデバイス」である。ブラックベリーが衰退した理由はそこにある。

そもそもBlackBerryは、00年代の初めに、「会社のメールサーバーに届く電子メールに社外から手軽にアクセスしたい」というユーザーのニーズに応えるために作られた。というのも当時は社外から電子メールにアクセスするには3つの「壁」があったからだ。

■巧みな手法で壁を越え、社内メールにアクセス

1つは、社内ネットワークとインターネットの間にある「ファイアウオール」。これを越えて社内のメールサーバーにアクセスするのは、技術的にも、社内の手続きの面でも、容易ではなかった。多くの企業がメールサーバーとして採用していた「Exchange Server」を開発していた米マイクロソフト(MS)が、インターネット標準プロトコルのサポートに積極的ではなく、サーバーへのアクセスプロトコルがMS独自のものであったこともこの問題を複雑にしていた。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。