2019年8月20日(火)

乱獲の薬草「苗テラス」で人工栽培 三菱樹脂の末松氏に聞く
編集委員 滝順一

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2010/11/17 7:00
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三菱樹脂は薬用植物(薬草)の人工栽培技術の開発に着手した。薬草は漢方薬にとどまらず食品や化粧品の原材料としても広く使われる。日本は多くを中国からの輸入に頼っているが、中国は乱獲防止を理由に輸出の制限を強めつつある。薬草の安定供給を目指した技術開発の背景などについて、同社の末松優・農業資材部部長代理に聞いた。

人工光で苗を育てる植物工場の苗テラス

人工光で苗を育てる植物工場の苗テラス

――ベンチャー企業のグリーンイノベーション(東京・中央、原泉社長)と共同開発で薬草の人工栽培に取り組むわけですが、なぜ三菱樹脂が薬草なのでしょうか。そのきっかけは?

「きっかけは、私のひらめきに過ぎない。三菱樹脂はこれまで農業ハウス用のフィルムの製造を手掛け、最近は植物工場ビジネスを展開している。『苗テラス』と呼ぶ屋内の育苗システムで苗を育て、屋外のハウスに移して成熟させる太陽光併用型の方式だ。屋内の人工光で収穫まで育てる閉鎖系の植物工場に比べて採算性が高いのが特徴だ」

「この方式で何を育てれば、利益があがるかを考えるうち、薬草がいいのではと思いついた。だれも手を付けていない分野であったし、調べてみると、非常に市場規模が大きい。日本国内の漢方薬市場は約1200億円で、医薬品全体の約6兆円に比べれば小さいが、医薬品だけでなく、健康食品や化粧品の原材料として広く使われていると知った」

培養から育てた甘草の苗

培養から育てた甘草の苗

「例えば、代表的な薬草である甘草(かんぞう)はフラボノイドやグリチルリチンなどの成分に富み、自然な甘みがあるため、タバコやチョコレートなどのフレーバーに使われる。美白作用があることから化粧品にも利用されている。米国では国立がん研究所が発がん抑制効果のある食品の1つに選んでいる。薬草の市場規模は欧米では10兆円ともいわれる」

――人工栽培に取り組む最初の目標は甘草だそうですが、それほど用途の広い植物でありながら、日本はほぼ全量を輸入に依存しているのですか。

「そうだ。中国とアフガニスタンから年間約2000トンを輸入していて、その8割は中国だ。野生の甘草を採取している。甘草は根を地中に深く下ろすため乾燥地でも育ち砂漠化防止に役立つが、乱獲により砂漠化が加速しているとの指摘もある。そのため、中国政府は採取を許可制にするとともに年間の採取計画を提出することも義務付け、採取して輸入できる量が年々減っている。これは関連する業界にとって深刻な問題だ」

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