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国立競技場、1300億円で建て直し 英建築家案を採用

新国立競技場の国際デザイン・コンクールで、英国の建築設計事務所、ザハ・ハディド・アーキテクトが最優秀賞を射止めた。コンクールを主催する日本スポーツ振興センターが11月15日に審査結果を発表した。優秀賞はオーストラリアの建築設計事務所、コックス・アーキテクチャー ピーティーワイ エルティディ。入選は日本のSANAA + 日建設計だった。賞金は、最優秀賞2000万円、優秀賞700万円、入選は300万円。最優秀者は、基本設計や実施設計、施工の各段階でデザイン監修に当たる。

コンクールは、東京都新宿区にある現在の国立競技場の建て替え案を募るもの。総工事費は解体費を除いて1300億円程度を見込む。完成は2018年度。19年のラグビー・ワールドカップ開催に間に合わせる。東京都が招致を目指す20年夏季五輪ではメーンスタジアムと位置付けている。8万人収容の全天候型競技場という条件で、基本構想を公募していた。

審査は、建築家の安藤忠雄氏が委員長を務める審査委員会が担当した。9月25日までに国内12点、海外34点の計46作品が応募。10月16日に実施した1次審査では、国内4点、海外7点の計11点が通過した。最終審査は11月7日に実施していた。

ザハ・ハディド・アーキテクトの代表者のザハ・ハディド氏は、ロンドンを拠点に活躍する女性建築家。1950年イラク・バグダッド生まれ。曲線、直線、鋭角が織りなす流動的でダイナミックなデザインで知られる。かつては「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」と言われたこともあったが、実績を重ね、04年に、「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞した。09年には、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。12年のロンドン五輪では水泳競技施設「アクアティクス・センター」を設計した。

審査講評の中で、安藤委員長はザハ案を「強いインパクトをもって世界に日本の先進性を発信し、優れた建築・環境技術をアピールできるデザインである」と高く評価。最優秀案に選んだ理由として「橋梁ともいうべき象徴的なアーチ状主架構の実現は、現代日本の建設技術の粋を尽くすべき挑戦となる」、「自然採光・自然換気・太陽光発電・地中熱利用・中水利用・雨水利用のクーリングシステム等の提案においても、日本の優れた環境技術が十分に生かされるだろう」と強調した。

建設・不動産分野の専門サイト「ケンプラッツ」は、どの応募者が最優秀賞を獲得すると思うかを尋ねる読者調査を事前に実施していた。その予想で本命視されていたSANAA + 日建設計は、最優秀賞を逃した。

(ケンプラッツ 佐々木大輔)

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