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正月の有楽町火災があぶり出した都市防災の「盲点」

2014年1月3日に発生したJR東日本(東日本旅客鉄道)・有楽町駅(東京都千代田区)の沿線火災によって、東海道新幹線が一時全面運休するなど鉄道網は大混乱に陥った。帰省のUターンラッシュと重なったこともあり、約60万人が影響を受けた。線路のすぐ脇で発生した火災は、都市防災に新たな課題を突きつけた。

火災が発生したのは1月3日午前6時半ごろ。有楽町駅に隣接するビルから出火した。東京消防庁によれば、木造で地下1階地上3階建てのパチンコ店など3棟計955平方メートルが焼けた。消火が完了したのは、出火から約9時間後の午後3時31分。けが人はなかった。

警視庁と東京消防庁が1月4日に実況見分を行った結果、半焼したパチンコ店とゲームセンターの間の通路に設置した水槽のケーブルがショートしていたことが分かった。警視庁丸の内署によれば、ショート痕は水槽の真下に複数あり、周囲が最も燃焼していた。「水槽下が出火元である可能性が高く、引き続き調べている」(丸の内署)。

水槽は幅300×高さ80×奥行き60センチで、半焼したパチンコ店「有楽町ウノ新館」が所有していた。同店舗を経営する東和産業は1月5日、水槽の維持管理を委託している会社による点検と清掃が2013年12月30日に行われており、その際に異常は見当たらなかったと発表。維持管理の担当会社は、出火原因であることに対して異を唱えているという。

運休200本超、大動脈5時間停止

この火災によって、JR東海(東海旅客鉄道)は火災発生直後から約5時間にわたって東海道新幹線の東京―品川間で運転を見合わせた。折り返し運転ができないため、ほぼ全線で運転できない状態となった。同社によれば、運休は上下線で計106本。遅れ本数は計238本で、最大の遅れ時間は5時間28分だった。

品川駅発などの臨時列車は27本にとどまった。「乗務員の手配などに時間が掛かるため、すぐに臨時列車を増発できるわけではない。消火がいつ終わるかも分からなかった」(JR東海広報部)。

在来線も大きく混乱した。JR東日本は、山手線、東海道線、京浜東北線の一部を運休。午後12時53分に全ての運転を再開したが、運休は計125本にまで膨らんだ。遅れが出たのは計240本だった。

JR東海とJR東日本を合わせ、約58万7000人の利用客に影響が出た。

ここまで影響が広がったのは、火災現場が線路すぐ脇だったことが大きな要因だ。燃えた建物と東海道新幹線の高架は近接している(下の写真)。

「側道設置の法的義務はない」

沿線火災で鉄道に影響が出たのは、有楽町の火災だけではない。例えば2012年1月には、JR王子駅(東京都北区)近くで住宅や飲食店などが焼け、京浜東北線などが運転できない状態となった。

鉄道高架などと近接している建物は多く、沿線火災のリスクはどこにでも存在している。国土交通省鉄道局施設課によれば、鉄道を新たに整備する場合、近接地の火災からの影響を少なくするための側道などを設ける法的な義務はないという。

東京都によれば、鉄道を高架化する連続立体交差事業においても、側道設置の法的義務はない。「高架化する際に側道を設置する場合は多いが、周辺の日照など都市環境の保全が設置の目的で、沿線火災の影響を防ぐためではない」(東京都建設局道路建設部鉄道関連事業課の担当者)。

東京都は2012年から「木密地域不燃化10年プロジェクト」を進めており、不燃化特区の指定や、延焼を防ぐ主要な都市計画道路整備に取り組む。有楽町火災によって浮き彫りとなった線路沿いの不燃化も、今後の課題となりそうだ。

(日経アーキテクチュア 島津翔)

[ケンプラッツ 2014年1月14日掲載]

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