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ゼロカロリー、糖質ゼロ 「太らない甘さ」の秘密

日経ヘルス

 ダイエット中の人が見逃すことができないのが「ゼロカロリー」「糖質ゼロ」を売りにしている飲料やお菓子。飲んだり食べたりすると甘いのに、どうしてゼロなのか? 本当に太らない? 健康への影響は? 「太らない甘さ」の疑問を検証しました。

まずは右の質問に答えてみよう。あなたならどれを選びますか?(解答は本文最後に)

この設問を考えてくれた、食品添加物や甘味料と健康との関係に詳しい医師で、ハーバード大学研究員の大西睦子さんは、まずは1に注意、という。「清涼飲料水によく使われる『異性化糖』はブドウ糖と果糖の混合物。多く摂取すると肥満、高血圧、糖尿病の原因になるとして問題になっています」。

異性化糖の説明をする前に、最近注目されている糖質を減らすダイエットのメカニズムをおさらいしよう。「ブドウ糖が吸収される→血糖値が上がる→インスリンの分泌で代謝される→代謝されなかった余りのブドウ糖が脂肪になって蓄積される」というサイクルを避けるのが狙い。そのため、消化によりブドウ糖になるでんぷんや砂糖の摂取を控えるのだ。

では果糖はどうだろう? 実は果糖は血糖値をほとんど上昇させず、インスリンの分泌も増えない。それならば摂取してもいいのでは、と考えたくなるが、「果糖は腸から肝臓へ運ばれて中性脂肪などに変わるので、むしろ太りやすいです」(大西さん)。

清涼飲料水に話を戻すと、使われている「異性化糖」はブドウ糖と果糖の混合物。「果糖ブドウ糖液糖」(果糖含有率50~90%)などと記載されている。「500mlの清涼飲料水中に異性化糖が12%入っていると異性化糖を60gも摂取することになり、大量の果糖で、中性脂肪の増加や肥満を招きます」。

それ以外の2~5の飲み物にも、砂糖などが入っており、ブドウ糖と果糖を摂取することになるが、「ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれプラス面も。風味を楽しみながら、適量の摂取を薦めます」(大西さん)。

甘さは砂糖の数百倍!人工甘味料でカロリーゼロ

一方、6によく入っているのが人工甘味料で、7に入っているのが天然由来だが砂糖ではない甘味料。どちらも砂糖と同じカロリーでも甘さが砂糖の数十倍から数百倍もあり、使用量がごく少なくて済むためカロリーはゼロに近い。血糖値の上昇にも影響しない。

では、これらの甘味料なら「絶対に太らない」のか。

「実は、ダイエットソーダを毎日飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて、メタボリック症候群や2型糖尿病を発症する可能性が高いという大規模な疫学調査を、2009年にテキサス大学の研究者が発表しました。その一番の原因は『人工甘味料はカロリーがないからその分安心してたくさん食べてもいいと思う』といった行動パターンにあるのではと研究者は指摘しています」(大西さん)。

そもそも、日本人が摂取している砂糖の量は1日に約50g。米国の約90g、ヨーロッパの100gに比べると少ない。糖尿病で血糖値のコントロールが必要な人には血糖値を上げない甘味料のメリットは大きいが、ダイエットが目的なら「習慣化せずに必要なときだけ」がお薦めだ。むしろ、スナック菓子や菓子パンなどの糖質が過剰摂取にならないように気をつけたい。

【冒頭の質問の解答】 甘い飲み物はとりすぎに注意~

1. コーラなどには「異性化糖」が含まれかなりの量の果糖をとることに。
2. コーヒーに入れるグラニュー糖は精白された砂糖=ブドウ糖+果糖。
3. オレンジジュースには糖類が多く、ブドウ糖:果糖:ショ糖=1:2:2。
4. ハチミツはブドウ糖(35%)+果糖(38%)+水分(21%)+その他。
5.黒糖は精白糖に比べてミネラル、ビタミンが残っている。
6. ダイエットコーラには複数の人工甘味料が使われている。
7. ステビアは天然由来の代替甘味料。虫歯の原因になりにくい。

Q シュガーレスとカロリーゼロって?

A 砂糖など「糖類」を使わないのが「シュガーレス」。代わりにキシリトールやスクラロースなどを使用する。いずれも虫歯の原因菌が餌にできないため、虫歯になりにくい。キャンディやガムに多い表現。一方、「カロリーゼロ」と呼ばれるものには、体内で代謝されずエネルギー源にならない甘味料(エリスリトールなど)か、カロリーはあるが非常に甘いため使用量が微量ですむ甘味料が使われている。

Q なぜ砂糖でない甘味料は後味が残ると感じることがあるの?

A 人の味覚は砂糖(ショ糖)の甘さを「おいしい甘さ」と感じる。代替甘味料ではその甘さの感じ(甘みの強さや、甘みの口の中への残り方)が砂糖と違うため、違和感を感じる人もいるのだ。そこで、複数の甘味料を組み合わせることで、砂糖に似た甘みを感じられるように、食品メーカーは工夫している。

Q 低カロリー甘味料でお菓子は作れる?

A 答えは「物によっては作れる」。砂糖は甘さに加えて、しっとり仕上げるなどの効果も持つので、焼き菓子などでは思ったような仕上がりにならないことも。低カロリー甘味料専用のレシピがメーカーのサイトなどで参照できる。

Q どうして甘味料でお腹がゆるくなる?

A 小腸で吸収されずに大腸に届く甘味料は、大腸の「水分を吸収する」という働きを邪魔するため、便が柔らかくなることがある。オリゴ糖、糖アルコール全般、甘草などが該当。ただし糖アルコールの中でもエリスリトールは小腸からの吸収が90%と多いため、ほかの糖アルコールよりお腹がゆるくなりにくい。

アドバイザー

大西睦子さん
 医師。ハーバード大学研究員。東京女子医科大学卒。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンに。老化や肥満の研究などで論文多数。「動物実験ではカロリーゼロの甘味料の摂取で食欲が増進するという研究報告もあります」

(日経ヘルス 大屋奈緒子)

[日経ヘルス2013年2月号の記事を基に再構成]

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