2019年5月20日(月)

宇宙政策転換で生活の質向上 開発から「利用」重視へ

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2013/5/22 7:00
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2013年5月末、三菱電機が同社鎌倉製作所に設けた人工衛星の新生産棟が全面的に稼働する(図1)。これまでは年間で最大4機だった人工衛星の生産能力を最大8機に引き上げられる。NECも稼働は2014年6月とまだ先になるが、人工衛星の試験・組立工場を同社府中事業所に新設するための工事を既に開始している。震度7クラスの地震に対応する、大型人工衛星の組み立て工場だ。

図1 増築した鎌倉製作所の新人工衛星生産棟

図1 増築した鎌倉製作所の新人工衛星生産棟

ここにきて、日本の人工衛星メーカー2社による生産能力の拡大が急ピッチに進んでいる。背後にあるのは、人工衛星市場が今後拡大するという見通しだが、日本の宇宙政策の見直しに対する期待も大きい。

■宇宙利用拡大で生活の質向上へ

三菱電機鎌倉製作所所長の岡村将光氏によれば、海外市場、とりわけ東南アジアをはじめとした新興国で、通信衛星を中心とする人工衛星の需要が高まってきている。予測される商用衛星の需要は、世界規模で年間30機。これが2020年に向けて数年間継続すると見られている。同社はこうした海外需要を取り込もうと狙っている。

その一方で、国内の衛星需要にも期待をかけている。日本の宇宙政策は開発重視から利用重視へと大きく軸足を移そうとしている。日本政府は今後、宇宙利用の拡大を図って国民生活の質を向上させる方針であり、そのために「さまざまなプログラムを検討中」(岡村氏)という。三菱電機は、そうしたプログラムに参加して、国内の衛星需要を取り込んでいきたいとしている。

日本の宇宙政策における利用重視への転換を端的に表しているのが、2013年1月に日本政府によって決定された2013年度からの5年間の「宇宙基本計画」である。同計画は、日本の宇宙政策の基礎に位置付けられるもので、宇宙基本法(平成20年法律43号)第24条に基づいて5年ごとに定められる。

日本政府が宇宙利用の拡大を重視するのは、第1に国民生活の質を上げられると考えているからだ。

例えば、気象衛星を使った日々の天気予報や通信・放送衛星によるデータ通信、衛星放送。さらに陸域・海域観測衛星による地図作成/資源探査/農林漁業への活用/災害監視、GPS(全地球測位システム)による道案内やロボットの制御――など(図2図3)。

図2 静止気象衛星「ひまわり5号」(GMS-5)の観測画像(写真:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

図2 静止気象衛星「ひまわり5号」(GMS-5)の観測画像(写真:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

図3 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の観測画像。可視域を観測する光学センサー(PRISM)と可視・近赤外域を観測する光学センサー(AVNIR-2)による阿蘇山の画像と鳥瞰図(写真:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

図3 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の観測画像。可視域を観測する光学センサー(PRISM)と可視・近赤外域を観測する光学センサー(AVNIR-2)による阿蘇山の画像と鳥瞰図(写真:宇宙航空研究開発機構(JAXA))


宇宙利用は既に我々の生活をより豊かで安心・安全なものへと向上させているが、こうした宇宙利用をさらに拡大させて生活の質を高めようというのが、新しい宇宙基本計画における基本的な考え方といえる。

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