「温暖化ガス削減」「日本の競争力向上」両立へ2つの戦い
編集委員 滝 順一

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2013/4/17 7:00
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安倍政権は「技術で世界に貢献する攻めの温暖化戦略」を目指す。日本の環境技術を世界に広げ地球規模での温暖化ガス削減につなげると同時に、日本の競争力維持と成長につなげる。一挙両得を狙うシナリオは描けるのか。日本の環境技術の競争力に関し報告書をこのほどまとめた東京大学公共政策大学院の本部和彦・特任教授と上野貴弘・客員研究員に聞いた。

本部和彦・東大大学院特任教授(右)と上野貴弘・同客員研究員

本部和彦・東大大学院特任教授(右)と上野貴弘・同客員研究員

――日本の産業競争力を高めると同時に世界の温暖化対策の推進に寄与するという2つの課題を両立させることが次第に難しくなっています。

本部 「2009年にコペンハーゲンで開いた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の前に比べると、日本が置かれた状況は難しさを増している。日本の温暖化ガス削減目標や国際協力の枠組みがどうあれ、日本の技術や資金協力で世界にどれだけ貢献できるか。日本の既存の最高技術(ベスト・アベイラブル・テクノロジー)をどう世界に広げるかという課題の重要性は変わらない」

「その実現には2つの問いに答えなければならない。まず台頭する中国や韓国などライバルとの競争に勝ち抜いて日本の技術を普及させるには、政策とビジネスの両面で何をすべきか。2点目は国際交渉の中で技術移転の仕組みをどうつくるかだ」

「大きな温暖化ガス削減効果が期待できるのは発電部門だ。COP15以前は、日本が高効率の超々臨界圧(USC)石炭火力を保有していたのに対し、中国は亜臨界圧の発電方式で、エネルギー効率に明白な差があった。しかし今や中国は海外技術を導入しUSCプラントの生産能力を身につけた。中国政府が非効率な発電所を強制的に閉鎖しUSCの導入を促進、日本より多数のUSCプラントを建設したからだ。猛烈な勢いでキャッチアップされ中国市場はもはや日本にとって魅力的な市場ではなくなった」

「一方、日本は東日本大震災で大きな影響を受けた。電力システムの改革は(USCに続く)新しい技術の国内導入を妨げる。これまではコスト高であっても、電力会社が新技術を採用しコストを電気料金に乗せられた。それができるのか不透明感がでている。同時に国全体としても新技術の導入に積極的に資金を支援する雰囲気がない。電力改革とは別に国としての余裕を失っている」

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