米インテル、クラウドからスマホまでアプリを共通に開発する手法を提唱

米Intel(インテル)は、サンフランシスコで開催中の開発者向けカンファレンス「Intel Developers Forum(IDF) 2012」で現地時間2012年9月12日、クラウドからPC、タブレット端末、スマートフォンといった幅広いプラットフォームでアプリケーション(アプリ)を共通に開発できるというコンセプト「Transparent Computing」を提唱した。2日めのキーノートに登壇したRenee James氏(写真1、ソフトウエア&サービスグループのジェネラルマネージャー兼シニアバイスプレジデント)が明らかにしたもの。
James氏によると、これらの市場で提供されているアプリのうち、63%は月間の売り上げが5000ドル以下で、月間の売り上げが500ドル以下のアプリも33%に達するという。「これでは健全なエコシステムが成り立っているとは言えない」(James氏)。James氏は、その要因として、OSやベンダーが異なると開発に必要な環境が異なることを挙げる。このため、せっかく開発したアプリも限られた市場でしか販売できず、売り上げが伸びないのだと指摘する。


そこで、一度開発したアプリをプラットフォームをまたがって利用できるようにし、開発者が複数のエコシステムに対して横断的に開発できるようにしようというのがTransparent Computingである。そのためのキーとなるのが、開発言語、クラウド、セキュリティの3つだという(写真2)。
具体的には、開発言語としてはHTML5を利用することを提唱する。その理由としてJames氏は、現在40%のアプリ開発者がHTML5を利用中で、それ以外の40%の開発者もHTML5の利用を計画しているというZDnetのリポートの数字を挙げ、HTML5によるクロスプラットフォーム開発が将来的に有望であるとした。そうした環境を実現するものとして、昨年のIDF 2011で発表したJavaScriptで並列処理を記述できる「River Trail」をFirefox上で利用するプラグインを用意。このRiver Trailは2013年中にFirefoxの標準機能になる予定だという。
またJames氏は、開発者向けのコミュニティサイト「Intel Developer Zone」を開設したことも発表した(写真3)。クロスプラットフォーム開発やタッチ操作など、開発に役立つツールやリソースの情報を開発者同士で交換する場にしていくという。2012年第4四半期には、このIntel Developer Zoneに「HTML5 Developer Zone」を開設して、Windows、iOS、Android、Tizenといった各OS上でのクラスプラットフォーム開発を支援するとした。
(ITpro 根本浩之)
[ITpro 2012年9月13日掲載]