2019年2月19日(火)

遠いが価値、巡れば納得 過疎地で輝く新観光名所
「超逆張り」の発想奏功

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2012/7/16付
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相性次第で「好立地」に

都心部や中心市街地から離れた立地の潜在的な集客力はどれだけ高まっているのか。博報堂若者生活研究室の原田曜平アナリストは、インターネット通販の普及で現実の店に出向く必要性が薄れた結果「近い、遠いで消費の場を選ぶ人は減り続けている」と指摘する。

むしろSNS(交流サイト)で情報発信するのが当然の若者の間では「他人と重複しやすい都心より、地方の店や施設の方が『ネタ』として訪れる意味があると考える人も多い」。

もちろん、人通りが多く買い回りに便利な都心部や中心市街地の集客力は無視できない。ただ、大都市では専門店などの攻勢で競争が激化し、一方で地方都市の中心市街地は地盤沈下が止まらない。また、開発や運営のコスト面では都市部と地方の差が再び開きつつある。公示地価、路線価とも東京などは全国に先駆けて底打ち感が強まり、商業施設の賃料も都心の一部で上昇に転じた。

若者を中心とした消費者の嗜好に加え、競争状態やコスト事情もめまぐるしく変化している。周辺人口や交通の便といった条件だけでは、最終的に収益が上がる場所を割り出しにくくなっているのが実情だ。

半面、これらの立地から離れた、従来は商業的に不毛とみられていた地域のコスト優位性は高まっている。さらに店のコンセプトと地域の特性がかみ合えば、新たな商機を掘り起こす余地も広がる。いずれの事例も業態や業容の差こそあれ「この場所なら、この商法で」という攻めの意識が強い。「遠隔地だから」というあきらめはない。

立地戦略の方程式は複雑さを増している。自らの営みと、その土地ならではの価値の相性を探り当てる嗅覚が、思わぬ「好立地」を生み出す可能性がある。(消費産業部 堀大介)

[2012年7月8日付 日経MJ]

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