iPhoneを「お財布ケータイ」に 米社がmicroSDカード活用で


米DeviceFidelity社は、近距離無線通信技術「NFC(near field communication)」機能を搭載したmicroSDメモリーカードを開発した。米Spring Card System社と組み、このカードをスマートフォンのモバイル・ペイメントに活用するサービス「moneto」を2012年1月に始めた。同月10日(米国時間)から米国ラスベガスで開催中の民生機器展示会「2012 International CES」で対応機器のデモを見せている。
DeviceFidelityなどが始めたのは、米Apple社のスマートフォン「iPhone」と組み合わせたサービス。iPhoneはmicroSDカードスロットを備えていないため、microSDカードを利用するためのケースとのセット販売になる。
microSDメモリーカードとiPhone用のカバーケース、米銀行のUniversity National Bank社が発行するプリペイド・カードをセットにして販売する。価格は79.95米ドルで、プリペイド・カードには、あらかじめ10米ドルが課金してあるため、実質的な価格は69.95米ドルになる。モバイル・ペイメント・サービスは、米MasterCard社の非接触決済サービス「PayPass」を使う。
スマートフォン用のアプリをダウンロードし、カバーケースに設けた挿入口にmicroSDメモリーカードを差し込むことで、iPhoneでNFCによる通信が可能になる。カードに組み込んだ通信用の小型アンテナと、カバーケースのアンテナを連動させてデータ通信を実現する。ユーザーは、プリペイド・カードのアカウントにオンラインで所望の金額の電子マネーを振り込んでおける。店舗では、それを使って日本の携帯電話機を使ったモバイル・ペイメントと同様に買い物ができる仕組みだ。
2012年第2四半期には、Androidを搭載したスマートフォンにも対応する。AndroidスマートフォンはmicroSDメモリーカードの挿入口を備えているため、そこに差し込んで使う仕様に変更する。カバーケースの裏側に付属のアンテナ・シールを張ることで、通信が可能になるという。
(日経エレクトロニクス 高橋史忠)
[Tech-On! 2012年1月13日掲載]