KDDI小野寺社長が語る、新社長を選んだ理由

2010/9/13付
保存
共有
印刷
その他

「私は伝統的な通信事業者(の人間)だが、彼は"IT技術者"の顔を持つ。これからのKDDIをリードするには彼のような経験が不可欠だ」――。KDDIの小野寺正・社長兼会長は2010年9月10日、12月1日付で就任する新社長に田中孝司・代表取締役執行役員専務を選んだ理由をこのように話した(写真1)。

写真1 KDDIの小野寺正・社長兼会長(左)と12月1日付けで新社長に就任する田中孝司・代表取締役執行役員専務(右)

田中専務は旧KDDの出身(KDDIはDDI、KDD、日本移動通信の合併で発足)。若き日はエンジニアとして活躍し、2000年のKDDI発足以降は主にソリューション事業を担当してきた。「エンジニアとして過ごしていた当時、KDDの情報システムをメーンフレームからオープン系のUNIXの置換するプロジェクトを進めた。今、必要となっているオープン系のデバイスを理解するうえでも勉強になった」と田中専務は話す。

記者会見で小野寺社長は、昨今の通信事業者を取り巻く競争状況変化への対応の必要性を強調した。旧来の通信事業者間だけの競争から、レイヤーを超えた端末系、ネット系プレーヤーなどとの競争へと、通信事業者を取り巻く環境は大きく変化している。KDDIは、このような環境変化への対応に出遅れたという認識を示す。その一つがスマートフォンの発売の遅れだ。

「我々が従来型の多機能携帯電話(フィーチャーフォン)に固執してしまったのが理由。その点、彼は今でいうAndroidのようなオープン系のシステムを担当してきた。これらのノウハウは今後のKDDIの事業によい影響を与えるだろう」(小野寺社長)。

小野寺社長の後継者としては、田中専務のほか、コンシューマ事業を長く担当した高橋誠・代表取締役執行役員専務などの名前も下馬評に挙がっていた。最終的に田中専務を後継者として選んだ理由として小野寺社長は、法人事業やWiMAX事業者であるUQコミュニケーションズの立ち上げの功績を挙げた。

「かつて法人向けの携帯事業には音声系のサービスしかなかったが、そこにモバイルソリューションの概念を取り入れたのは彼の功績。新型WAN(広域ネットワーク)サービスである『KDDI Wide Area Virtual Switch』の開発を陣頭指揮したのも彼だ。新しい事業にリスクを取って積極的に取り組んだ。UQも会社をゼロから立ち上げた。これらの経験が、今後のKDDIの発展には不可欠と考えた」(小野寺社長)。

「明るい性格もプラスに働く」と小野寺社長

田中専務の明るい性格も、会社を引っ張っていく上でプラスに働くと小野寺社長は話す。その指摘の通り田中専務はインタビューなどでも笑顔を絶やさない。周りを明るくするような雰囲気を持っているといえる。

新社長に就任する田中専務は、今後の抱負として「競争の変化に対応できる新たなKDDIを作っていきたい」と語る。

「以前は携帯電話の契約純増数を競う時代だったが、これからはスマートフォンを含めて様々なレイヤーのプレーヤーとアライアンスを組むなど、新たな競争環境に対応できる体制を作る必要がある。固定とモバイル、CATVと複数のネットワークを持つ優位性も活用しきれていない。KDDIは多様な人物が集まった会社。戦略を明確に示すことが重要だ」(田中専務)。

具体的な戦略については、現在、2020年ビジョンを作成中と話す。KDDI発足10周年(2010年10月1日)時や、社長就任時に明らかにしていきたいとしている。

(日経コミュニケーション 堀越功)

[ITpro 2010年9月10日掲載]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]