2019年2月18日(月)

進むCO2の農業利用 温暖化の「悪玉」を有用資源に

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2013/2/20 7:00
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発電機の稼働で生まれる電気のほか、排熱も利用する「コージェネレーション(熱電併給)システム」が、エネルギーの利用効率が高い省エネ技術として広まりつつある。

加えて、排気に含まれる二酸化炭素(CO2)をも有効に使う「トリジェネレーションシステム」と呼ばれる仕組みも注目され始めた。トリジェネレーションには、CO2を作物の生育増進に利用する「農業トリジェネレーション」と、アルカリ廃液の中和に利用するなど、工業的に使う「工業トリジェネレーション」がある。世界的に利用が広がっているのが農業利用だ。

■総合熱効率は90%超

米カリフォルニア州キャマリロにあるHouweling's Tomatoesは、125エーカー(約0.5平方キロメートル)もの温室で年間数百万個のトマトを生産している(図1)。同社は、非遺伝子組み換え作物に限定しているほか、地球環境の視点からも、持続可能な農業に取り組んでいることで知られている。5エーカー(約2万平方メートル)に太陽光パネルを敷き詰め、雨水タンクの水を循環利用するなど環境負荷を低減している。

図1 Houweling's Tomatoesのトマト栽培風景

図1 Houweling's Tomatoesのトマト栽培風景

図2 Houweling's Tomatoesに設置したGE製のガスエンジン

図2 Houweling's Tomatoesに設置したGE製のガスエンジン


加えて2012年8月、全米でも珍しい高効率の分散型エネルギーシステムを導入した。米GE(ゼネラル・エレクトリック)製の8.7MW(メガワット)のガスエンジンを設置(図2)。発電時の排熱を温水に変えて温室の加温に利用するとともに、作物の生育を促進するため、CO2濃度の高くなったガスエンジンの排気を温室に送り込むトリジェネレーションを構築した。

発電効率は45.5%で、排熱利用を含めたコージェネシステムの総合熱効率は90%を超える。温室に投入される排気中のCO2は、年間で2万1400tに達する。ガスエンジンは、地域の電力需要がピークに達する昼前後を中心に稼働しているので、負荷平準化に貢献することにもなる。

ハウスに投入されたCO2は日中、作物の光合成に利用され、生育の増進に寄与する。排気中に含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、その他の微量の有害物質は、触媒によって、地域の大気汚染管理基準を下回る値まで低減している。

■CO2濃度を高めて収穫増

ガスエンジンの排気に含まれるCO2を農業に利用する試みは、米国では始まったばかりだが、欧州ではすでに導入例が多い。GEは温室栽培向けに全世界で800基以上のガスエンジンを納入しており、約2GW(ギガワット)の発電システムで排気を作物の生育増進に使っている。排気中のCO2利用を同社内で先導的に研究しているのが、オランダの研究所だ。温室栽培の盛んなオランダでは、自家発電やボイラーに含まれるCO2を早くから農業に利用してきた。

図3 つくば市が大阪ガスと共同で導入した、花き栽培でのトリジェネレーション。下にあるプラスチック製の筒からCO2を投入する

図3 つくば市が大阪ガスと共同で導入した、花き栽培でのトリジェネレーション。下にあるプラスチック製の筒からCO2を投入する

日本でも、大阪ガスや農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所などが、農業トリジェネレーションの導入に取り組んできた。大気中のCO2濃度は、通常360PPM(1PPMは100万分の1)だが、同研究所の実験結果を見ると、CO2濃度を700~1000PPM程度に上げると、葉野菜で25~30%、果物で20%程度、花きでは40%程度の収穫増が認められている。

実際の畑での導入例としては、大阪ガスが茨城県つくば市と協力して、同市内の花き栽培農家でガスエンジンを使ったトリジェネレーションを構築した実績もある(図3)。営業ベースでも、トヨタ自動車系の花き生産・販売会社、トヨタフローリテック(青森県六ケ所村)が、マイクロガスタービンを使ったトリジェネレーションを導入、年間約400万鉢を生産している。

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