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選手目線を共有、「グラス放送」が変えるスポーツ観戦

ウエアラブル端末時代の幕開け(2)

 「ポスト・スマートフォン(スマホ)」として、にわかに注目度が高まっている身に着ける情報端末、いわゆるウエアラブル端末。その代表的な存在と言えるのが、米Google(グーグル)が開発を進めているメガネ型端末「Google Glass(グーグル・グラス)」だ。すでにGoogle Glassを試用した一部の開発者からは、「デジタル・ライフが一変した」との声も聞こえてくる。本当にそうなのか、もし普及したら我々の生活をどう変えていく可能性があるのか――。Google Glassを購入して「グラス生活」を送っている、米シリコンバレー在住のベンチャークレフ代表・宮本和明氏に、Google Glass が我々の生活に与えるインパクトを解説してもらう。3回連載の第2回は、米国で始まったGoogle Glassを使ったスポーツ報道やファンサービスを紹介する。

米国時間2014年2月2日、プロアメリカンフットボール(NFL)の王者決定戦スーパーボウルで、シアトル・シーホークスがデンバー・ブロンコスを下し、初優勝を飾った。

今年のスーパーボウルでは、Google Glassから試合が中継され、大きな話題となった。これに先立ち、プロバスケットボールでは「グラス放送」が始まっており、米国のスポーツ報道が今、大きく変わろうとしている。

プロ選手の視点を共有

今回のスーパーボウルでは、選手やテレビレポーターがGoogle Glassを着装し、グラス目線のビデオ画像を公開した。試合本番ではGoogle Glassは使われなかったが、試合前後のイベントで、Google Glassで撮影された映像が放送された。

出典:Bleacher Report

シーホークスのワイドレシーバーであるGolden Tate氏は、Google Glassを着装し、ロッカールームや練習の模様をビデオ撮影し、それを公開した。上の写真は、報道各社との交流イベントで、Tate氏がGoogle Glassをかけて写真を撮影している様子である。

Tate氏は本番直前の練習の模様をビデオ撮影し、同僚からパスを受けるシーンなどを公開している。スポーツイベントにおけるグラス放送の可能性を強く印象付けた。

テレビレポーターがGoogle Glassで取材

米ニューヨーク州ロチェスターに拠点を置くテレビ局WROC Television Channel 8のレポータJohn Kucko氏は、Google Glassを着装して試合の模様を撮影し、それをテレビ局で放送した。

撮影されたビデオや写真はテレビ局のウェブサイトでも公開されている。ただし、著作権などの問題から、写真やビデオは試合前のセレモニーやハーフタイムショーの一部に限定されている。

出典:John Kucko

上の写真はGoogle Glassで撮影された試合前のスタジアムの様子。心配された雪の影響もなく、最高のコンディションであると報道している。テレビ局がGoogle Glassでビデオを撮影し放送したことは、ジャーナリズムの新たな手法の誕生を意味する。

異なる目線からの映像を提供

Google Glassを試合放送で利用することに関しては、北米プロバスケットボールリーグ(NBA)が先行している。カリフォルニア州サクラメントを本拠地とするキングスは、バスケットボールの試合をGoogle Glassで撮影し中継する試みを始めた。

出典:Sacramento Kings

キングズのアナウンサー、チアリーダー(上の写真)、着ぐるみキャラクターがGoogle Glassを着装し、試合の様子をそれぞれの目線で捉える。キングズの選手数名もGoogle Glassを着装し、試合前の練習やロッカールームの様子をグラスで中継する。

ただし、選手が試合中にGoogle Glassをかけることは認められてなく、選手目線での試合中継はまだ実現していない。

Google Glassで捉えた映像は、アリーナのスコアーボードに送信され、観客向けに公開される。このほかに、キングスが提供する専用アプリにも配信され、観客はスマホでグラス目線のビデオ映像を楽しむことができる。

これらの映像はサクラメント地区のテレビ局にも配信され、ローカル番組で放送される。Google Glassをテレビカメラとして使うことで、観客は様々な場所にいる人の目線で捉えた映像を見ることができ、いつもとは異なるアングルで試合を楽しめる。下の写真はキングスの選手が装着しているGoogle Glassで撮影した、試合前のウォーミングアップで、サイドラインからショットしたところを捉えている。

出典:Sacramento Kings

Google Glassでプレーごとの詳細情報を確認

サンフランシスコ対岸のオークランドに拠点を置くウォリアーズもGoogle Glassを使ったファンサービスを開発した。ウォリアーズの場合は、Google Glassを着装している観客に、試合経過情報を配信している。

具体的には、スマホアプリにプレーごとの情報を配信する。観客は目の前の試合を見ながら、グラス上でプレーごとの詳細情報を参照できる。Google Glassは一般販売が始まっていないが、ウォリアーズは幅広く普及するとみて、先行してシステムを開発している。

NFLのフォーティナイナーズは、本拠地をサンフランシスコからシリコンバレーに移す予定。現在、サンタクララに「Levi's Stadium」という新スタジアムを建設中である(下の写真)。

出典:Venture Clef

来シーズンからこのスタジアムが使われ、2016年2月にはここでスーパーボウルの開催が予定されている。ハイテク企業お膝元のスタジアムは、フットボール観戦のための最新技術が装備されると言われている。Google Glass活用ではバスケットボールが先行しているが、来シーズンからはアメリカンフットボールでもグラス放送が始まるのか。Googleお膝元のシリコンバレーならではのハイテクサービス開発に期待したい。

宮本和明(みやもと・かずあき)
 米ベンチャークレフ代表。1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

(米ベンチャークレフ 宮本和明)

[ITpro 2014年2月18日付の記事を基に再構成]

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